Excelを使ったデータ分析では「平均」だけでなく「中央値」と「標準偏差」を理解することがとても重要です。平均だけを見ると実態を見誤るケースもあり、データの分布やばらつきを把握するにはこれらの指標が欠かせません。
この記事では「Excel 中央値 標準偏差」というテーマで、初心者でも使える関数の解説から、グラフを使ったわかりやすい表示方法、ビジネスでの活用事例まで詳しく紹介します。
目次
✅ 中央値と標準偏差をわかりやすく理解する
Excelでデータを分析するときに、まず確認しておきたいのが 中央値 と 標準偏差 です。
この2つを押さえることで「データの中心」と「データの散らばり具合」を同時に把握でき、単なる平均値以上に正確な分析が可能になります。
・中央値(Median)とは?
中央値とは、データを小さい順に並べたときの「真ん中の値」を指します。
- 平均値が外れ値(極端に大きい/小さい値)に引っ張られるのに対し、中央値は影響を受けにくい特徴があります。
- そのため「実態に近い中心値」を知りたいときに最適です。
📌 例:データが「1, 2, 10」の場合
- 平均値 = 4.33
- 中央値 = 2
外れ値「10」があっても、中央値は現実感のある値を示しています。
・標準偏差(Standard Deviation)とは?
標準偏差は「データがどれくらい平均値から散らばっているか」を数値化した指標です。
- 値が 小さい → データが平均値の近くに集まっている(安定している)
- 値が 大きい → データが大きくバラついている(不安定)
📌 例:
- 「10, 11, 12」 → 標準偏差は小さい(点数が似通っている)
- 「5, 10, 20」 → 標準偏差は大きい(点数の幅が広い)
✅ Excelで中央値を求める方法
Excelでは MEDIAN
関数を使えば簡単に中央値を求められます。
構文
=MEDIAN(数値1, [数値2], …)
例:A1~A10のデータの中央値を求める
=MEDIAN(A1:A10)
応用例
- 大量データの範囲指定:
=MEDIAN(B2:B100)
- 複数範囲をまとめる:
=MEDIAN(A1:A10, C1:C10)
➡️ アンケートの「年齢中央値」や「世帯収入の中央値」など、実態を捉えたい場面で役立ちます。
✅ Excelで標準偏差を求める方法
Excelには標準偏差を求める関数が2種類あります。
- STDEV.P:母集団全体のデータに基づいて計算
- STDEV.S:母集団の一部(サンプルデータ)に基づいて計算
例:A1~A10のデータで標準偏差を求める
=STDEV.P(A1:A10)
=STDEV.S(A1:A10)
使い分けの目安
- データが「全員分」揃っている → STDEV.P
- データが「一部のサンプル」だけ → STDEV.S
➡️ テストの点数、売上データ、品質検査の測定値などで「バラつきの度合い」を見たいときに活用します。
✅ 中央値と標準偏差を同時に活用する
・例:テストの成績表
- 平均点 → データ全体の中心を把握
- 中央値 → 外れ値に影響されない中心を確認
- 標準偏差 → 成績のばらつきを確認
この3つを組み合わせることで「クラスの成績分布」が正しく把握できます。
参考:【Excel】IF関数を使った条件付き書式で見やすいExcel表を作る方法|色分けで視覚的に業務効率UP!
✅ 検索や抽出と組み合わせて分析
- 条件付き書式で中央値を境にセルを色分け
参考:【Excel】条件付き書式とIF関数で視覚的に判断しやすくする方法とは? - フィルターで中央値以上のデータだけを抽出
参考:【Excel】重複を1つだけ表示する方法|関数・フィルター・Power Queryで一意のデータを抽出 - 標準偏差を使って「平均±1σ」の範囲内に入るデータを抽出
例:
=IF(AND(A2>=(AVERAGE($A$2:$A$100)-STDEV.P($A$2:$A$100)), A2<=(AVERAGE($A$2:$A$100)+STDEV.P($A$2:$A$100))), "範囲内", "範囲外")
✅ グラフでわかりやすく表示する方法
・箱ひげ図(Excel 2016以降)
中央値とデータのばらつきを視覚的に表現可能。
- データを選択
- 「挿入」→「統計グラフ」→「箱ひげ図」
・誤差範囲付き折れ線グラフ
標準偏差を誤差範囲として追加すると、ばらつきを直感的に把握できます。
✅ 実務での活用シナリオ
・営業データ分析
売上データの中央値を出すことで「典型的な売上規模」が把握可能。標準偏差を確認すれば、売上の安定性も判断できます。
参考:【Excel】【営業向け】売上金額に応じてランクを自動表示するIF関数の使い方|簡単に業績ランク付け!
・品質管理
製品検査の結果を中央値と標準偏差で確認。外れ値の影響を除外しつつ、バラツキを管理できる。
参考:【Excel】【在庫管理】在庫数に応じて発注判断を自動化するIF関数の設定方法|ムダなく効率的な仕入れを実現
・人事評価
社員の評価点数を中央値で確認し、標準偏差を見れば評価の偏りも把握可能。
参考:【Excel】「何歳何ヶ月」まで表示する年齢計算の方法【DATEDIF関数で簡単!】
・マーケティング
アンケート結果を中央値で分析し、標準偏差で「回答のばらつき」を可視化できる。
✅ 注意点とコツ
- データに外れ値が多いときは中央値を重視
- 分布の安定性を見たいときは標準偏差を確認
- データ範囲を「テーブル化」しておくと動的に更新可能
- グラフと組み合わせて「見える化」することで説得力が増す
■ まとめ:Excelで中央値と標準偏差を使いこなそう
Excelでは、
- 中央値を求めるには MEDIAN関数
- 標準偏差を求めるには STDEV.P / STDEV.S関数
を使います。
✅ まとめ:中央値で「実態に近い中心」を把握し、標準偏差で「ばらつき」を確認することで、Excelでのデータ分析は格段に精度が高まり、ビジネス判断に直結する!