Excelでデータの中央値を求めるとき、単純に =MEDIAN(範囲) と入力すれば計算できます。しかし実務でよくあるのが「0を除いて中央値を出したい」というケースです。
例えば:
- 売上データに「0円(未購入)」が含まれていて中央値がずれる
- アンケート回答で「0(未回答)」を省いて分析したい
- 測定値に「0(欠測データ)」が混ざっている
このように、0をそのまま含めてしまうと中央値が実態とズレてしまいます。そこで今回は「Excel 中央値 0を除く」というテーマで、0を除外して正しい中央値を計算する方法を徹底解説します。
目次
✅ 中央値とは?
まずおさらいとして、中央値の意味を確認しましょう。
- 中央値(Median):データを小さい順に並べたときの真ん中の値
- 平均値との違い:外れ値や0の影響を受けにくい
📌 例:データが「0, 10, 20, 30, 40」
- 平均値 = 20
- 中央値 = 20(0があっても真ん中は20)
しかし、もし「0は未回答なので除外したい」場合は中央値が変わります。
➡️ 「10, 20, 30, 40」の中央値は「25」。
参考:【Excel】COUNTIFで空白を除外してカウントする方法|Excelで正確な集計を行うための実践テクニック
✅ 単純な中央値の求め方
基本は MEDIAN 関数です。
構文
=MEDIAN(数値1, [数値2], …)
・例:A1:A10の中央値
=MEDIAN(A1:A10)
➡️ ただしこのままでは「0」も含まれてしまいます。
✅ 方法1:IF関数で0を除外する
0を除外するには「条件付きで値を返す」仕組みを使います。
構文
=MEDIAN(IF(範囲<>0, 範囲))
・例:A1:A10から0を除いて中央値を求める
=MEDIAN(IF(A1:A10<>0, A1:A10))
- IF関数で「セルが0でないときだけ値を返す」
- その結果をMEDIANで処理する
⚠️ Excel 2019以前では配列数式のため Ctrl + Shift + Enter で確定が必要です。
➡️ Excel 365では通常のEnter入力でOK。
参考:【Excel】IF関数で空白を判定・活用する方法とは?入力チェックや自動表示の実務例を交えて徹底解説!
✅ 方法2:FILTER関数を使う(Excel 365以降)
最新のExcelでは FILTER 関数を使うことで、より直感的に「0を除いた範囲」を作れます。
構文
=MEDIAN(FILTER(範囲, 範囲<>0))
・例:B2:B100から0を除外した中央値
=MEDIAN(FILTER(B2:B100, B2:B100<>0))
➡️ 配列数式を意識する必要がなく、読みやすい式になります。
参考:【Excel】検索結果をわかりやすく表示する方法まとめ|抽出・強調・整理で業務効率化
✅ 方法3:AGGREGATE関数を使う
AGGREGATE 関数は「特定の計算をしながら、エラーや条件を無視できる」関数です。
中央値も指定できるため、0を除外する工夫が可能です。
構文
=AGGREGATE(16, 6, 1/(範囲<>0)*範囲, (COUNTIF(範囲,"<>0")+1)/2)
少し複雑ですが、配列数式不要で動作します。
➡️ 大規模データで安定して使いたい場合に有効です。
✅ 実務での活用シナリオ
・売上分析
「売上0円の取引」を除外して中央値を計算すれば、実際の取引の典型的な金額を把握できる。
参考:【Excel】【営業向け】売上金額に応じてランクを自動表示するIF関数の使い方|簡単に業績ランク付け!
・アンケート集計
「0=未回答」を除外して中央値を求めることで、回答者の実態を反映した分析が可能。
・品質管理
欠測値を0で管理している場合、除外して中央値を出すことで「標準的な測定値」を確認できる。
参考:【Excel】【在庫管理】在庫数に応じて発注判断を自動化するIF関数の設定方法|ムダなく効率的な仕入れを実現
✅ 0を除外する際の注意点
- 0を除外する意味を明確にする
→ 0が本当に「欠測」なのか、「実際のデータ」なのかを区別することが重要。 - データの件数が減ることを意識する
→ 中央値の位置が変わるため、件数が少ないときは慎重に解釈する。 - エラー対策を忘れない
→ すべてが0の場合、エラー(#NUM!)が返るのでIFERRORで補正すると安心。
📌 例:
=IFERROR(MEDIAN(IF(A1:A10<>0, A1:A10)), "該当データなし")
✅ グラフと組み合わせてさらにわかりやすく
中央値を出しただけでは伝わりにくいことがあります。
そこでグラフを活用するのがおすすめです。
- 棒グラフ+中央値ライン
→ 0を除いた中央値を別セルに計算し、基準線として追加。
参考:【Excel】2軸のグラフを作成する方法 - 箱ひげ図
→ 中央値・範囲・外れ値をまとめて可視化。
➡️ 視覚的に「どこがデータの中心か」「0を除外した影響はどうか」が伝わります。
■ まとめ:中央値を0を除いて正しく算出しよう
- 単純に
=MEDIAN(範囲)では0も含まれる - 0を除外するには
=MEDIAN(IF(範囲<>0, 範囲))(配列数式)=MEDIAN(FILTER(範囲, 範囲<>0))(Excel 365)
- 実務では売上・アンケート・品質管理などで効果的
- グラフを併用すればレポートの説得力も増す
✅ まとめ:Excelで中央値を0を除いて計算すれば、欠測値や未回答に惑わされず「本当に知りたいデータの中心」を正確に把握できます!