Excelで「中央値(Median)」を求めるとき、単純に =MEDIAN(範囲) を使うだけなら簡単です。しかし実務では「特定の条件に合うデータだけを対象に中央値を求めたい」というケースが非常に多いです。
例えば…
- 売上データのうち「特定の地域」だけの中央値を出したい
- テストの点数から「合格者のみ」の中央値を出したい
- アンケート回答の「男性のみ」の中央値を知りたい
こうした条件付きの集計は、IF関数と組み合わせて「条件付き中央値」を求める」 のがポイントです。この記事では「Excel 中央値 if」というテーマで、基本的な考え方から実務で役立つ応用パターンまで詳しく解説します。
目次
- ✅ 中央値とは?(おさらい)
- ✅ 条件付きで中央値を出す基本:IF関数との組み合わせ
- ・基本の構文
- ✅ 実例1:地域ごとの売上中央値を求める
- ・「東日本」の売上中央値
- ✅ 実例2:合格者の中央値を求める
- ・条件:70点以上の合格者だけを対象
- ✅ 実例3:性別ごとのアンケート結果中央値
- ・「男性」の中央値
- ・「女性」の中央値
- ✅ 複数条件で中央値を求める方法
- ・例:東日本かつ売上が10万円以上の中央値
- ✅ Excel 365以降ならFILTER関数で簡単に
- ・構文
- ・例:東日本の売上中央値
- ✅ 実務での活用シナリオ
- ・営業データ分析
- ・教育分野
- ・アンケート調査
- ・品質管理
- ✅ 注意点とコツ
- ■ まとめ:IF関数と組み合わせれば条件付き中央値も自由自在
✅ 中央値とは?(おさらい)
中央値(Median)とは、データを小さい順に並べたときの真ん中の値を指します。
- 平均値が外れ値の影響を受けやすいのに対し、中央値は安定した指標。
- 実務では「代表的な値」を知りたいときに使われます。
📌 例:データが「50, 60, 70, 80, 500」
- 平均値 = 152
- 中央値 = 70
➡️ 外れ値「500」の影響を受けず、中央値は実態に近い値を示しています。
✅ 条件付きで中央値を出す基本:IF関数との組み合わせ
Excelには「MEDIANIF関数」は存在しません。
そのため、MEDIAN と IF を組み合わせて「条件に合うデータだけ」を中央値の対象にするのが定石です。
・基本の構文
=MEDIAN(IF(条件範囲=条件, 対象範囲))
この式は「条件を満たしたときだけ対象範囲を返し、そのデータの中央値を取る」という仕組みになっています。
⚠️ ポイント
- 配列数式として入力が必要(Excel 365なら通常入力でもOK)
- 古いExcelでは Ctrl + Shift + Enter で確定する必要あり
✅ 実例1:地域ごとの売上中央値を求める
データ例
- A列:地域(東日本/西日本)
- B列:売上額
・「東日本」の売上中央値
=MEDIAN(IF(A2:A100="東日本", B2:B100))
➡️ 東日本に該当する行だけを対象に、売上額の中央値を返します。
参考:【Excel】【営業向け】売上金額に応じてランクを自動表示するIF関数の使い方|簡単に業績ランク付け!
✅ 実例2:合格者の中央値を求める
データ例
- A列:名前
- B列:点数
・条件:70点以上の合格者だけを対象
=MEDIAN(IF(B2:B100>=70, B2:B100))
➡️ 合格者だけの中央値を求められるため、「典型的な合格者の点数」を把握できます。
参考:【Excel】【成績処理】複数教科の合否判定をIF関数で自動化する方法(合格/再試験/不合格)
✅ 実例3:性別ごとのアンケート結果中央値
データ例
- A列:性別(男性/女性)
- B列:満足度(1~5のスコア)
・「男性」の中央値
=MEDIAN(IF(A2:A100="男性", B2:B100))
・「女性」の中央値
=MEDIAN(IF(A2:A100="女性", B2:B100))
➡️ 性別ごとに中央値を比較でき、分析レポートの説得力が増します。
✅ 複数条件で中央値を求める方法
条件を2つ以上組み合わせたい場合は、IF関数に「*(掛け算)」や論理式を組み合わせます。
・例:東日本かつ売上が10万円以上の中央値
=MEDIAN(IF((A2:A100="東日本")*(B2:B100>=100000), B2:B100))
➡️ 条件を組み合わせれば、より柔軟な中央値分析が可能です。
✅ Excel 365以降ならFILTER関数で簡単に
最新のExcel(365)では FILTER 関数を使うことで、条件付き中央値がさらにシンプルに書けます。
参考:【Excel】名前を検索して抽出する方法まとめ|関数とフィルターで効率化
・構文
=MEDIAN(FILTER(対象範囲, 条件式))
・例:東日本の売上中央値
=MEDIAN(FILTER(B2:B100, A2:A100="東日本"))
➡️ IF+MEDIANの配列数式よりも直感的で扱いやすいのが特徴です。
✅ 実務での活用シナリオ
・営業データ分析
地域別・担当者別に売上中央値を出して「典型的な売上水準」を把握。
➡️ 営業戦略の改善に役立つ。
・教育分野
合格者・不合格者ごとに中央値を出して「学力層の中心」を確認。
➡️ 指導方針を考える材料になる。
・アンケート調査
性別・年代別に中央値を算出し「属性ごとの満足度傾向」を可視化。
➡️ 商品開発やサービス改善の指針にできる。
・品質管理
条件付きで測定値の中央値を求めれば、異常値を除外した「標準的な値」を確認可能。
✅ 注意点とコツ
- 古いExcelでは Ctrl + Shift + Enter が必須
- 条件に該当するデータがない場合、エラー(#NUM!)になる →
IFERRORで補正可能 - データは「見出し付き表形式」で整えておくと管理しやすい
- Excel 365ユーザーは FILTER関数 を積極的に活用するのがおすすめ
■ まとめ:IF関数と組み合わせれば条件付き中央値も自由自在
Excelで条件付きの中央値を求めるには、
- 旧バージョン →
=MEDIAN(IF(条件, 範囲))(配列数式で入力) - Excel 365以降 →
=MEDIAN(FILTER(範囲, 条件))
を使うのが基本です。
✅ まとめ:中央値にIF関数を組み合わせれば、「特定条件に合うデータだけ」の代表値を簡単に算出でき、売上分析・テスト分析・アンケート集計など実務の幅広いシーンで役立つ!