業務でExcelを使っていると、作成したデータを「CSVファイルとして出力したい」という場面が頻繁にあります。例えば、他のシステムへデータを取り込むためにCSVが求められることもあれば、他部署や取引先にCSV形式でファイルを送る必要があることもあるでしょう。
CSV(カンマ区切りテキスト)ファイルは、構造がシンプルで様々なソフトに対応している一方、Excelとは挙動が異なる点も多く、初めて出力する方は戸惑うことも少なくありません。本記事では、Excelで作成したデータをCSVファイルとして正しく出力する方法と、出力時に起こりやすいトラブル・注意点・対策を解説します。
目次
そもそもCSVファイルとは?
CSVファイル(Comma Separated Values)は、カンマ(,)で区切られたテキストファイルです。各行が1レコード、カンマで区切られた各値がフィールドを表します。たとえば以下のような形式です:
ID,名前,部署,電話番号
001,田中一郎,営業部,09012345678
002,佐藤花子,総務部,08098765432
CSVは以下のような特徴があります:
軽量で高速
ほぼすべてのシステムが対応
書式・数式などの情報は含まれない
【Excel】CSVファイルをExcelで開く設定方法|正しく開いて文字化けやデータ崩れを防ぐ
✅ ExcelからCSVファイルを出力する基本手順
ステップ1:保存したい表を作成
通常通り、Excelのシート上にデータを作成します。CSVファイルとして出力されるのは現在アクティブな1シートのみです。
ステップ2:「名前を付けて保存」でCSV形式を選択
メニュー「ファイル」をクリック
「名前を付けて保存」を選択
保存先のフォルダを選ぶ
「ファイルの種類」で「CSV UTF-8(コンマ区切り)(*.csv)」を選択
ファイル名を入力し、「保存」をクリック
この操作で、選択中のシートがCSVファイルとして出力されます。
出力時の重要な注意点
注意点1:出力されるのは「アクティブな1シートのみ」
Excelファイル(.xlsx)では複数のシートを持てますが、CSVは1つの表のみが出力対象です。他のシートのデータは無視されるため、必要であれば各シートを個別に保存する必要があります。
注意点2:書式・数式・グラフなどはすべて消える
CSVはテキスト情報だけのファイルです。以下のような要素はCSVに出力されません。
対象 | 出力結果 |
---|---|
数式 | 結果値のみ |
文字色・罫線 | なし |
グラフ・図形 | なし |
セル結合 | 分割されることがある |
出力前に、値貼り付けで数式を確定させるなどの準備を行うと安全です。
注意点3:先頭の0が落ちる(ゼロ落ち)
郵便番号や社員番号など、先頭に0を含む数値は出力時に先頭の0が削除されてしまいます。たとえば「01234」は「1234」となってしまいます。
対策:TEXT関数で文字列に変換
先頭0を維持したい場合、別列に以下のような関数を使います。
=TEXT(A2,"00000")
この方法で出力用の列を作成しておけば、CSVでも0が維持されます。
注意点4:日本語が文字化けすることがある
WindowsのデフォルトではShift_JISで保存されることがありますが、システムやブラウザによってはUTF-8形式でないと文字化けすることがあります。
解決策:必ず「CSV UTF-8(コンマ区切り)」を選ぶ
保存時に「CSV UTF-8(*.csv)」を選択すれば、文字化けのリスクを減らすことができます。特に英語圏やWebアプリとの連携では重要です。
【Excel】CSVファイルの文字化けとは?原因と対処方法を徹底解説
複数シートを一括でCSV出力したい場合(VBA)
複数シートを1つずつ手作業で保存するのは大変です。以下のVBAを使えば、すべてのシートを個別のCSVファイルとして一括出力できます。
Sub 全シートCSV出力()
Dim ws As Worksheet
Dim folderPath As String
folderPath = Application.ThisWorkbook.Path & "\"
For Each ws In ThisWorkbook.Worksheets
ws.Copy
ActiveWorkbook.SaveAs Filename:=folderPath & ws.Name & ".csv", FileFormat:=xlCSVUTF8
ActiveWorkbook.Close False
Next ws
MsgBox "CSV出力が完了しました。"
End Sub
このマクロは、現在のExcelブックと同じフォルダに、各シートをCSVとして保存します。
ファイル名はシート名がそのまま使われます。
・CSV出力後の確認方法
CSVファイルはExcelで開くと自動で書式が適用され、先頭の0が消えたり、日付が変換されたりすることがあります。正しく出力されたか確認するには、以下の方法を推奨します。
推奨確認手段
メモ帳やVS Codeなどのテキストエディタで開く
データ読み込み時は「データタブ → テキストファイルのインポート」で型を指定して取り込む
・CSV出力を正しく行うためのポイントまとめ
ポイント | 内容 |
---|---|
保存形式 | 「CSV UTF-8(*.csv)」を選択 |
複数シートは出力不可 | アクティブなシートのみ出力対象。VBAで一括保存が便利 |
数式や書式は保存されない | 結果値だけが保存される |
先頭0は消える | TEXT関数で文字列にして回避 |
文字化け対策 | UTF-8で保存。可能ならテキストエディタで確認 |
再編集には注意が必要 | Excelで開くと自動変換されるため、専用の読み込み機能を使うことが安全 |
・まとめ:ExcelからのCSV出力は「準備」と「確認」がカギ
CSV出力は非常に簡単な操作で実現できますが、仕様の違いを理解していないと「データが壊れる」「誤って渡す」などのトラブルが発生しやすいのが現実です。
保存前に数式や表示形式を見直す
0落ちや文字化けに対応した列や関数を活用する
保存後はテキストエディタで内容を確認する
この3点を徹底すれば、CSV出力のトラブルはほとんど回避できます。