WPS OfficeはMicrosoft Excelの代わりとして利用できる表計算ソフトですが、業務でExcelを利用している方が気になるのは「VBAマクロは使えるのか」という点ではないでしょうか。
例えば、
- Excelで作成したマクロ付きファイル(.xlsm)は開ける?
- VBAコードはそのまま実行できる?
- WPS Officeだけでマクロを作成できる?
- 業務で利用しても問題ない?
このような疑問を持つ方は少なくありません。
結論から言うと、WPS Officeは一部のマクロ機能に対応しているものの、Microsoft Excelと同等とは言えません。
特に業務でVBAを活用している場合は、対応範囲や制限を理解したうえで利用することが重要です。
この記事では、WPS OfficeにおけるVBA・マクロの対応状況や、実務で注意すべきポイントについて分かりやすく解説します。
✅ WPS OfficeでVBA・マクロは使える?基本的な対応状況
「マクロ対応」と書かれていると、「Excelと同じようにVBAが使える」と思ってしまう方もいます。しかし、実際には対応している機能と対応していない機能があり、用途によって使い勝手は大きく変わります。
この違いを理解せずに導入すると、「今まで動いていたマクロが実行できない」「業務が止まってしまった」というトラブルにつながる可能性があります。
まずは、WPS Officeのマクロ対応について基本的な内容を確認していきましょう。
・マクロ対応は製品やバージョンによって異なる
WPS Officeには複数のエディションやバージョンがあります。
そのため、
- マクロ機能が利用できるもの
- 利用できないもの
- 一部のみ対応しているもの
など、製品によって仕様が異なります。
また、新しいバージョンでは対応状況が改善されることもあるため、「WPS Officeはマクロが使えない」と一概には言えません。
利用前には、使用しているバージョンの対応状況を確認することが大切です。
・ExcelのVBAと完全互換ではない
仮にマクロ機能が利用できる環境であっても、Microsoft ExcelのVBAと完全に同じ動作を保証するものではありません。
例えば、
- 一部のオブジェクト
- ActiveXコントロール
- COMオブジェクト
- Windows API
などを利用しているコードでは、正常に動作しない場合があります。
そのため、Excelでは問題なく実行できるマクロでも、WPS Officeではエラーになるケースがあります。
・マクロ付きExcelファイル(.xlsm)は開ける場合が多い
WPS Officeでは、マクロ付きブック(.xlsm)を開ける場合が多くあります。
ただし、
- ファイルを開ける
- マクロが正常に実行できる
この2つは別の話です。
データ自体は表示できても、マクロ実行時にエラーが発生したり、一部の処理だけ正常に動作しなかったりするケースがあります。
「ファイルが開けたから安心」と判断せず、実際に必要な処理が最後まで実行できるか確認しましょう。
WPS Officeではマクロだけでなく、Excelファイル自体の互換性にも注意が必要です。レイアウト崩れや関数の対応状況について詳しく知りたい方は、【WPS OfficeでExcelファイルは開ける?】互換性・レイアウト崩れ・注意点を徹底解説もあわせてご覧ください。
✅ WPS Officeで動かないことがあるVBA・マクロの例
「簡単なマクロなら動いた」というケースもありますが、実務ではさまざまなExcel機能を組み合わせたVBAが使われています。
そのため、業務用マクロほど互換性の影響を受けやすくなります。
ここでは、特に注意したい代表例を紹介します。
・ActiveXコントロールを利用したマクロ
Excelでは、
- コマンドボタン
- チェックボックス
- オプションボタン
など、ActiveXコントロールを利用することがあります。
例えば、
- ボタンを押すと帳票を印刷する
- ボタンからデータを更新する
- フォーム画面を表示する
といった仕組みです。
しかし、これらはWPS Officeでは正常に動作しない場合があります。
会社で配布されているツールではActiveXが利用されていることも多いため、注意が必要です。
・外部アプリケーションとの連携
Excel VBAでは、
- Outlook
- Word
- Access
- Internet Explorer(旧環境)
- PDFソフト
などと連携するマクロもよく利用されています。
例えば、
- Outlookからメールを自動送信する
- Wordへ報告書を出力する
- PDFを自動保存する
といった業務自動化です。
これらはWindowsやMicrosoft Officeとの連携機能を利用しているため、WPS Officeでは正常に動作しないケースがあります。
・高度なExcelオブジェクトを利用する処理
実務では、次のようなExcel独自機能をVBAから操作することがあります。
- ピボットテーブル
- Power Query
- テーブル(ListObject)
- スライサー
- 条件付き書式
- グラフ
基本的な操作はできても、高度な設定や細かなプロパティでは互換性の違いが出ることがあります。
そのため、社内で利用している業務システムや管理ツールでは、事前の動作確認が欠かせません。
・Windows APIやCOMオブジェクトを利用するマクロ
より高度な業務自動化では、
- フォルダー操作
- ファイル検索
- システム情報取得
- 他ソフトとの連携
などをWindows APIやCOMオブジェクトを利用して実装していることがあります。
こうしたマクロはExcel本体だけで完結していないため、WPS Officeでは互換性の問題が発生しやすくなります。
特に企業で長年運用されているマクロでは、このような高度な処理が組み込まれているケースも珍しくありません。
VBAだけでなく、日常業務全体で見た場合にWPS OfficeがExcelの代わりとして使えるのか気になる方は、【WPS OfficeはExcelの代わりになる?】互換性・できること・実務での使い勝手を徹底比較も参考にしてみてください。
✅ WPS Officeでマクロを使うなら知っておきたい実務上の注意点
「マクロが動く」と聞くと、そのまま業務でも利用できると思われがちです。しかし、実際の業務では複数の機能や外部ソフトと連携したVBAが使われていることも多く、想定どおりに動作しないケースがあります。
特に会社で利用するファイルでは、事前の確認を怠ると業務に支障をきたす可能性があります。
ここでは、実務で押さえておきたいポイントを紹介します。
・業務で使うマクロは必ず動作確認を行う
WPS Officeでマクロ付きファイルを利用する場合は、実際の業務で使用する前に一連の操作を確認しましょう。
例えば、
- ファイルを開く
- マクロを実行する
- 最後までエラーなく処理されるか確認する
- 出力結果や計算結果に問題がないか確認する
という流れでテストすると安心です。
特に毎月利用する帳票や集計ツールでは、処理の途中でエラーが発生すると手作業での修正が必要になることもあります。
「以前は動いたから大丈夫」と思い込まず、更新後や新しい環境で利用する際には再確認することをおすすめします。
・マクロ編集機能も事前に確認する
業務では、既存のマクロを少し修正する場面もあります。
例えば、
- シート名を変更する
- 保存先フォルダーを変更する
- 処理対象を追加する
といった軽微な修正です。
しかし、利用しているWPS Officeのバージョンによっては、VBAエディターの利用や編集機能に制限がある場合があります。
マクロを実行するだけでなく、「修正や保守ができるか」という点も確認しておくと安心です。
・重要な業務ではバックアップを残す
互換性のあるソフトを利用する場合は、編集前にバックアップを作成することも重要です。
例えば、
- 元のExcelファイルをコピーする
- コピーしたファイルで動作確認する
- 問題がなければ運用に使用する
という流れで作業すれば、万が一ファイルが破損した場合でも元データを保護できます。
特に複数人で利用するファイルや、月次・年次の集計資料では、バックアップを残しておくことでトラブル発生時の復旧も容易になります。
Microsoft Excelでは、CSVファイルの読み込みや保存などもVBAで自動化できます。VBAを活用した実務的な自動化に興味がある方は、【Excel VBA】CSVデータを簡単に読み取り・保存する実務設計ガイドもぜひ参考にしてください。
✅ WPS OfficeとMicrosoft Excelはどちらを選ぶべき?
WPS Officeは価格を抑えられる点が魅力ですが、用途によってはMicrosoft Excelの方が適している場合もあります。
ここでは、それぞれに向いているケースを整理します。
・WPS Officeがおすすめのケース
次のような用途であれば、WPS Officeでも十分対応できるでしょう。
- Excelファイルの閲覧が中心
- 簡単な表や集計を作成する
- 基本的な関数を利用する
- VBAはほとんど使用しない
- コストを抑えてOfficeソフトを導入したい
家庭での利用や個人の作業であれば、十分満足できるケースも少なくありません。
・Microsoft Excelがおすすめのケース
一方で、次のような用途ではMicrosoft Excelを選ぶ方が安心です。
- VBAを日常的に利用している
- マクロ付きブックを頻繁に扱う
- Power QueryやPower Pivotを活用している
- 社内システムとExcelを連携している
- 他部署や取引先とExcelファイルを共有することが多い
業務では「自分だけ使えればよい」という状況は少なく、他の利用者との互換性も重要になります。
そのため、仕事でExcelを中心に利用する場合は、Microsoft Excelを選ぶ方がトラブルを防ぎやすいでしょう。
「できるだけ費用を抑えてExcelを利用したい」という方は、WPS Officeだけでなく、Microsoft Officeの購入方法や無料で利用する方法も比較しておくと選びやすくなります。詳しくは【Excelだけ使いたい人必見】安く使う方法を徹底比較|Officeは必要?をご覧ください。
Microsoft 365を検討している方は、無料版と有料版で利用できる機能の違いも確認しておきましょう。詳しくは【Excel】マイクロソフト365の無料版と有料版の違いを徹底解説|どっちを選ぶべきかが分かる!で紹介しています。
✅ Excel業務を効率化するならVBAを学ぶメリットも大きい
WPS Officeでも基本的な表計算は行えますが、業務効率化という観点ではMicrosoft ExcelとVBAの組み合わせに大きなメリットがあります。
例えば、
- 毎月の売上集計をボタン一つで実行する
- 複数のCSVファイルを自動で取り込む
- フォルダー内のExcelファイルを一括処理する
- 定型レポートを自動で作成する
- データ入力や転記作業を自動化する
といった繰り返し作業は、VBAを利用することで大幅な時間短縮につながります。
また、VBAは単に作業を自動化するだけでなく、ヒューマンエラーの防止や業務品質の向上にも役立ちます。
現在はWPS Officeを利用している方でも、「今後は業務をもっと効率化したい」「毎日の定型作業を減らしたい」と考えている場合は、Microsoft ExcelとVBAの活用を検討してみるのもよいでしょう。
VBAによる自動化だけでなく、近年はクラウドサービスと組み合わせた業務効率化も注目されています。自動化の全体像を知りたい方は、Excel×クラウド自動化の全体像を徹底解説|これからの業務効率化を理解する基礎知識もおすすめです。
WPS Office以外の選択肢も比較したい方は、Googleスプレッドシートとの違いも確認しておくと、自分に合った表計算ソフトを選びやすくなります。詳しくは【ExcelとGoogleスプレッドシートの違い】どっちを使うべき?特徴・メリット・デメリットを徹底比較をご覧ください。
✅ まとめ:WPS OfficeのVBA・マクロ対応は用途を見極めることが重要
WPS OfficeはExcelファイルを開いたり、環境によってはマクロを実行したりできる場合がありますが、Microsoft Excelと完全に同じ互換性があるわけではありません。
特に業務で利用されるVBAマクロは、ActiveXコントロールや外部アプリケーションとの連携、高度なExcel機能を利用していることも多く、動作しないケースもあります。
今回の記事のポイントをまとめると、次のとおりです。
- WPS Officeはバージョンによってマクロ対応状況が異なる
- Excel VBAとの完全互換ではない
- マクロ付きブック(.xlsm)は開けても正常に実行できるとは限らない
- 業務利用では事前の動作確認とバックアップが重要
- VBAを本格的に活用するならMicrosoft Excelの利用が安心
用途に応じてWPS OfficeとMicrosoft Excelを使い分けることで、コストと利便性のバランスを取りながら快適に作業できます。特にVBAを活用した業務自動化を重視する場合は、必要な機能や互換性を確認したうえで、自分に合った環境を選ぶことが大切です。