Excelで乱数を使ってランダムな数字を生成した経験がある方は多いと思います。
しかし、次のような悩みを持ったことはないでしょうか。
- "RAND"や"RANDBETWEEN"で作った数字が更新のたびに変わってしまう
- 一度作成した乱数を固定して保存したい
- 「一時的に乱数を使いたいけど再計算では変えたくない」
Excelの乱数関数は非常に便利ですが、再計算のたびに結果が変わるという特性があります。
そのため、「固定」して使いたい場合には少し工夫が必要です。
この記事では、Excelで乱数を生成し、再計算で変わらない“固定されたランダム数字”を作る方法をわかりやすく解説します。
目次
- ✅ Excelでランダムな数字を作る基本関数
- ・RAND関数:0以上1未満の乱数を生成
- ・RANDBETWEEN関数:指定範囲の整数をランダムに生成
- ・RANDARRAY関数(Excel 365以降)
- ✅ 方法①:コピーして「値貼り付け」で固定する
- ✅ 方法②:ショートカットキーで即座に固定する
- ・手順(超時短テクニック)
- ✅ 方法③:数式を含むセルを自動で固定する(計算モードの設定)
- ・操作手順
- ✅ 方法④:RANDARRAY+値貼り付けで大量固定
- ・RANDARRAY関数の構文
- ・固定化手順
- ✅ 方法⑤:特定条件のもとで乱数を一度だけ生成(IF関数応用)
- ・IF関数と組み合わせた例
- ✅ 方法⑥:VBAを使わずに乱数固定を自動化する裏技(複合手法)
- ✅ 補足:固定乱数の注意点
- ・再計算で変わる原因
- ・固定化後に再利用する場合
- ・ブック共有・RPA連携時の挙動
- ✅ 実務での活用例:固定乱数の使いどころ
- ✅ まとめ:Excelでランダム数字を固定して安定したデータを作ろう
✅ Excelでランダムな数字を作る基本関数
まずはExcelで乱数を作る基本関数をおさらいしましょう。
・RAND関数:0以上1未満の乱数を生成
"=RAND()"
例:0.3241、0.9873、0.1025 など
再計算(EnterやF9)するたびに値が変わります。
・RANDBETWEEN関数:指定範囲の整数をランダムに生成
"=RANDBETWEEN(1,100)"
1から100の間の整数をランダムに生成します。
営業担当や顧客番号など、整数でランダム値を使いたい場合に便利です。
・RANDARRAY関数(Excel 365以降)
"=RANDARRAY(10,1,1,100,TRUE)"
1~100の乱数を10個まとめて生成できます。
大量の乱数を一度に作りたいときに非常に効率的です。
ただし、これらの関数は毎回再計算されるため、数値が固定されません。
次に、これを「固定」する方法を紹介します。
✅ 方法①:コピーして「値貼り付け」で固定する
最も基本的で確実な方法が、「値貼り付け」で固定化する方法です。
・手順
- "RAND"や"RANDBETWEEN"で乱数を作成
例:"=RANDBETWEEN(1,100)" - 生成されたセルを選択し、Ctrl + C(コピー)
- 右クリック → 「形式を選択して貼り付け」 → 「値」
- [OK]をクリック
これで、関数の式が削除され、結果の数値だけが残ります。
再計算しても乱数が変わらなくなります。
・POINT
- 値貼り付け後は固定値となり、再計算で変化しない
- 乱数を一時的に生成し、安定したデータとして扱える
- 関数を削除するため、ファイルが軽くなる効果もある
・活用例
- ランダムな社員番号や商品番号を一括生成
- 模擬データ(サンプル表・トレーニング用データ)の作成
- テスト目的で毎回異なるデータを作るが、最終版では固定したい場合
値貼り付けは手動操作が必要ですが、最も失敗が少ない確実な方法です。
参考:【Excel】ランダムな数字を「重複なし」で作る方法|RAND・RANDBETWEEN
✅ 方法②:ショートカットキーで即座に固定する
Excelには、関数結果をそのまま値として確定するショートカットがあります。
・手順(超時短テクニック)
- セルに"=RANDBETWEEN(1,100)"を入力
- 結果が出たら、F9キーを押す
- 数式バー内の数式が「数値」に置き換わる
- Enterキーで確定
・例
入力前:=RANDBETWEEN(1,100)
F9キー押下後:57
このように、関数を評価した時点の数値を固定できます。
・POINT
- コピー&貼り付けよりも高速
- 数式1件ごとに固定したい場合に便利
- 数値がその場で確定され、後から再計算しても変化しない
・注意点
F9は選択中の関数を即評価して固定化する操作なので、
複数セル同時処理には不向きです。
一括固定したい場合は、やはり「値貼り付け」の方が効率的です。
✅ 方法③:数式を含むセルを自動で固定する(計算モードの設定)
Excelの再計算が原因で乱数が変わるため、
自動計算をオフにすることで、結果を固定できます。
・操作手順
- [数式] タブ → [計算方法の設定] をクリック
- 「手動」を選択
- 「F9キーでのみ再計算する」状態にする
これで、再計算を手動に切り替えることができます。
RAND関数などで作った乱数も、F9を押さない限り変わりません。
・POINT
- 再計算を止めることで乱数が固定される
- 一時的な乱数表示や確認作業に便利
- 再計算を戻すと元に戻るため注意
・注意
再計算をオフにしたままだと、他の関数の更新も止まります。
処理後は「自動計算」に戻すことを忘れないようにしましょう。
✅ 方法④:RANDARRAY+値貼り付けで大量固定
大量のランダム数字を生成したい場合は、RANDARRAY関数+値貼り付けが効率的です。
・RANDARRAY関数の構文
"=RANDARRAY(行数, 列数, 最小値, 最大値, 整数指定)"
例:
"=RANDARRAY(10,1,1,100,TRUE)"
→ 1~100のランダムな整数を10個生成
・固定化手順
- 上記のRANDARRAY関数を入力
- Ctrl + C でコピー
- 右クリック → 「形式を選択して貼り付け」 → 「値」
- 完了
これで、数百~数千件のランダムデータも一括で固定できます。
・POINT
RANDARRAYは一括生成に最適。
さらに「値貼り付け」で確定すれば、再計算による変動を完全に防止できます。
✅ 方法⑤:特定条件のもとで乱数を一度だけ生成(IF関数応用)
「初回だけランダムに生成して、その後は固定したい」場合には、
IF関数を組み合わせた方法も使えます。
・IF関数と組み合わせた例
"=IF(B2="",RANDBETWEEN(1,100),B2)"
この式では、B2が空白のときだけ乱数を生成し、
一度値が入れば再計算しても変わりません。
参考:【Excel】IF関数と数式の組み合わせで動的な書式管理を実現する方法|Excel条件付き書式の実践活用術
・仕組み
- B列が空なら乱数生成
- 一度値が確定すると再計算時も変わらない
このように「条件付き」で乱数を出すことで、再計算を制御できます。
・POINT
- フォーム入力や自動番号発行の仕組みに応用できる
- 乱数を初回生成後に固定したい場合に最適
✅ 方法⑥:VBAを使わずに乱数固定を自動化する裏技(複合手法)
関数とショートカットを組み合わせることで、VBAを使わなくても
「乱数を自動で固定化」できます。
・手順例
- RAND関数でランダム値を生成
- ショートカットで「全選択(Ctrl + A)」
- コピー(Ctrl + C)
- 「値貼り付け」(Alt + E → S → V → Enter)
この流れを覚えると、
「関数入力 → 即固定化」が数秒で終わるようになります。
テンキー操作中心の業務(社員IDや管理番号発行など)でも効率的です。
✅ 補足:固定乱数の注意点
乱数を固定して使う場合、以下の点に注意が必要です。
・再計算で変わる原因
Excelは、ブックを開いたときやセルを編集したときに
自動的に「再計算」を実行します。
そのため、RAND系関数は値がリフレッシュされてしまいます。
・固定化後に再利用する場合
乱数を固定した状態で他シートにコピーする場合は、
必ず値のみを貼り付けてください。
式のままだと再計算が働く可能性があります。
・ブック共有・RPA連携時の挙動
Power AutomateやUiPathでExcelを扱う場合、
再計算設定によって乱数が変わるケースがあります。
自動化処理前に「手動計算」設定を確認しておくと安全です。
✅ 実務での活用例:固定乱数の使いどころ
用途 | 内容 | 固定化の目的 |
---|---|---|
顧客番号のランダム発行 | RANDBETWEENでID生成 | 後続処理で再計算を防ぐ |
サンプルデータ作成 | 乱数で仮データ生成 | テストデータとして保存 |
抽選番号発行 | 乱数で番号割り当て | 結果の再現性確保 |
アンケート結果のサンプリング | RANDでデータ抽出 | 同じ抽出結果を再現 |
シミュレーション | 乱数を基に結果算出 | 再実行で結果を変えたくない場合 |
ランダム要素が必要な場面では、「生成」と「固定」を明確に分けて使うのがポイントです。
✅ まとめ:Excelでランダム数字を固定して安定したデータを作ろう
- "RAND"や"RANDBETWEEN"は再計算で変わる
- 「値貼り付け」で確実に固定化できる
- F9キーで一瞬で数値化するショートカットも便利
- 「手動計算」設定で再計算を止める方法もある
- 大量生成はRANDARRAY+値貼り付けが最適
- 条件付き生成(IF関数)で初回のみ乱数も可能
Excelでランダムな数字を使うときは、
「生成 → 固定」の流れを意識することで、データの安定性が格段に上がります。
業務データやサンプル作成でも、「乱数が変わらない安心感」が得られるようになります。
ぜひこの記事の方法を活用して、ランダムデータを自在にコントロールできるExcel術を身につけてください。