Excelで数値を扱うとき、意外と混乱しやすいのが「四捨五入」の設定です。表示上は四捨五入されているのに、合計や計算結果が合わない──そんな経験はありませんか?
実はExcelには「見た目を丸める方法」と「計算値を丸める方法」があり、それぞれを正しく使い分けないと業務ミスにつながる恐れもあります。
この記事では「Excel 四捨五入 設定」を検索された方向けに、関数・表示形式・実務での活用方法まで丁寧に解説します。
目次
- ✅ Excelの四捨五入は「見た目」と「計算値」で設定が異なる
- ✅ 表示形式による四捨五入(見た目だけ整える)
- ・設定手順
- ✅ ROUND関数で値そのものを四捨五入する
- ・ROUND関数の構文
- ✅ ROUNDUP・ROUNDDOWN関数の違いと使い方
- ・ROUNDUP関数(切り上げ)
- ・ROUNDDOWN関数(切り捨て)
- ✅ MROUND関数で任意の単位に四捨五入する
- ・MROUND関数の構文
- ✅ INT関数やTRUNC関数も切り捨て用途で便利
- ・INT関数の基本構文
- ・TRUNC関数の基本構文
- ■ 実務でよくある「四捨五入の設定ミス」とその対処法
- ケース1:合計が合わない
- ケース2:請求書で1円未満を切り捨てたい
- ケース3:100円単位で請求額を丸めたい
- ■ 表示と計算結果を完全に一致させるには?
- ■ まとめ:正しい四捨五入設定で集計ミスを防ごう
- ・ポイントまとめ
✅ Excelの四捨五入は「見た目」と「計算値」で設定が異なる
まず押さえるべき重要なポイントは、Excelの四捨五入には2種類あるということです。
- 表示形式での四捨五入(見た目だけ変更)
- 関数での四捨五入(値そのものを変更)
この違いを理解せずに使ってしまうと、表示はきれいに整っていても、合計や平均の数値がズレてしまうことがあります。業務で使う際には特に注意が必要です。
✅ 表示形式による四捨五入(見た目だけ整える)
セルの表示だけを四捨五入したい場合には、「セルの書式設定」で小数点以下の桁数を調整できます。
・設定手順
- 対象のセルを右クリックし「セルの書式設定」を選択
- 「表示形式」タブで「数値」を選ぶ
- 小数点以下の桁数を設定(例:2桁)
- OKを押すと、見た目だけが丸められる
注意点:
この設定はあくまで表示上の変更のみで、セル内部の値は変更されません。そのため、SUM関数などで合計を計算すると、元の値で集計されるという違いが出てしまいます。
✅ ROUND関数で値そのものを四捨五入する
計算結果を正確に丸めたい場合は、関数を使って値自体を四捨五入する必要があります。
・ROUND関数の構文
=ROUND(数値, 桁数)
- 数値:対象となるセルや計算式
- 桁数:四捨五入したい小数点以下の桁数(0にすれば整数に)
使用例:
=ROUND(123.456, 2)
→ 結果は「123.46」
- 桁数に「0」を指定すると整数に
- 桁数に「-1」「-2」などの負の値を指定すれば、10の位や100の位での四捨五入も可能
【Excel】計算結果を切り上げる方法|ROUNDUP関数・CEILING・INTの使い分け
✅ ROUNDUP・ROUNDDOWN関数の違いと使い方
四捨五入ではなく「切り上げ」や「切り捨て」を行いたい場合には、以下の関数を使います。
・ROUNDUP関数(切り上げ)
構文:
=ROUNDUP(数値, 桁数)
使用例:
=ROUNDUP(123.451, 2)
→ 結果:「123.46」
常に上方向に丸められるのが特徴で、少しでも余分があれば切り上げられます。
【Excel】【初心者向け】「掛け算 × パーセント」の正しい使い方|10%増・割引・消費税・達成率まで完全網羅!
・ROUNDDOWN関数(切り捨て)
構文:
=ROUNDDOWN(数値, 桁数)
使用例:
=ROUNDDOWN(123.459, 2)
→ 結果:「123.45」
常に下方向に切り捨てるため、金額計算で1円未満を省きたい場合などに便利です。
【Excel】【初心者向け】「#パーセント」と関数の正しい使い方を徹底解説|エラーの意味と対処法も紹介
✅ MROUND関数で任意の単位に四捨五入する
「10円単位」「100単位」など、特定の数値に対して丸めたい場合は「MROUND関数」が最適です。
・MROUND関数の構文
=MROUND(数値, 基準値)
使用例:
=MROUND(123, 10)
→ 結果:「120」
特徴:
- 最も近い基準値に丸められます
- 値が基準の半分以上なら上に、未満なら下に丸められる
- 請求書や見積書の「端数処理」に適しています
✅ INT関数やTRUNC関数も切り捨て用途で便利
四捨五入ではなく、整数への切り捨てを目的とする場合には、「INT関数」や「TRUNC関数」も活用できます。
・INT関数の基本構文
=INT(123.99)
→ 結果:「123」
※負の数は「より小さい」整数になるので注意。
・TRUNC関数の基本構文
=TRUNC(123.456, 1)
→ 結果:「123.4」
指定した小数点以下の桁数で単純に切り捨てされるため、用途によってINTと使い分けが必要です。
■ 実務でよくある「四捨五入の設定ミス」とその対処法
実際の業務では、次のようなケースで問題が起きがちです。
ケース1:合計が合わない
原因: 表示形式で丸めただけで、計算値は丸めていない
対処: 各項目に =ROUND(値, 桁数)
を使って、計算前に値を明示的に丸める
ケース2:請求書で1円未満を切り捨てたい
対処: =ROUNDDOWN(金額, 0)
を使って整数部分のみを抽出
ケース3:100円単位で請求額を丸めたい
対処: =MROUND(金額, 100)
を使って希望単位に調整
■ 表示と計算結果を完全に一致させるには?
「見た目の数値」と「計算結果」を一致させたい場合には、表示形式と関数の併用がベストです。
例:売上金額を小数点第1位で処理したいとき
- 各セルに
=ROUND(元データ, 1)
を設定 - セルの書式設定でも「小数点以下1桁」に統一
- 集計関数(SUMなど)でもROUND後の値を使用
こうすることで、表示・印刷・集計のすべてにおいて整合性が保たれます。
■ まとめ:正しい四捨五入設定で集計ミスを防ごう
Excelの四捨五入設定を正しく理解すれば、表示の美しさだけでなく、集計精度・信頼性も大きく向上します。
・ポイントまとめ
- 表示形式はあくまで「見た目の調整」
- 計算値の丸めには ROUND・ROUNDUP・ROUNDDOWN を使う
- MROUND関数で任意単位に調整できる
- 実務では関数と表示形式の併用が効果的
Excelの四捨五入設定は、使い分けと意図の明確化がカギです。この記事を参考に、あなたのExcel業務でもミスのない丸め処理を実現してください。