Excelでデータを扱うとき、「平均」や「中央値」はよく使われますが、もうひとつ重要な指標が 最頻値(モード値) です。最頻値とは「データの中で最も多く出現する値」を指し、特にアンケートや集計データでは役立ちます。
この記事では「Excel 最頻値」というテーマで、初心者でも理解できる最頻値の意味から、Excelで求める方法、実務に役立つ応用事例までを詳しく紹介します。
目次
- ✅ 最頻値(モード値)とは?
- ・例1:データが「1, 2, 2, 3, 4」の場合
- ・例2:データが「5, 5, 7, 7, 10」の場合
- ✅ Excelで最頻値を求める関数と使い分け
- ・MODE.SNGL関数(単一の最頻値を求める)
- ・MODE.MULT関数(複数の最頻値を求める)
- ・古いバージョンのMODE関数
- ✅ 最頻値を活用する実務シナリオ
- ・アンケート集計で多数意見を把握
- ・売上分析で「標準的な額」を把握
- ・人事・勤怠管理で業務負荷を見える化
- ・品質管理で「標準状態」を確認
- ✅ 最頻値と他の統計指標を組み合わせて理解を深める
- ✅ グラフで最頻値を直感的に伝える
- ・ヒストグラムで分布を可視化
- ・棒グラフ+条件付き書式で強調
- ✅ 最頻値を使うときの注意点
- ■ まとめ:Excelで最頻値を求めてデータ分析を強化しよう
✅ 最頻値(モード値)とは?
- 定義:データの中で最も多く出現する値
- 特徴:平均や中央値とは異なり「多数派の意見・傾向」を把握できる
・例1:データが「1, 2, 2, 3, 4」の場合
最頻値 = 2 (最も多く出ているから)
・例2:データが「5, 5, 7, 7, 10」の場合
最頻値 = 5 と 7 (同じ回数で複数存在する)
➡️ 最頻値は「人気商品」「よく選ばれる回答」「標準的な数値」を知りたいときに強力な指標となります。
✅ Excelで最頻値を求める関数と使い分け
Excelには「最頻値(もっともよく出現する値)」を求めるための関数が用意されています。どの関数を使えばよいかは データの特性 によって変わります。
・MODE.SNGL関数(単一の最頻値を求める)
=MODE.SNGL(数値1, [数値2], …)
- データの中で最も多い値を1つ返す
- 最頻値が複数ある場合は、最初に見つかったものだけが返される
📌 例:A1:A10の範囲から最頻値を求める
=MODE.SNGL(A1:A10)
➡️ 「最も売れた商品数は?」「一番よく出る点数は?」といったシンプルな分析に便利です。
・MODE.MULT関数(複数の最頻値を求める)
=MODE.MULT(数値1, [数値2], …)
- 複数の最頻値が存在する場合にすべて返す
- Excel 365なら通常の数式入力で複数値を一覧化可能
- 旧バージョンでは Ctrl + Shift + Enter を押して配列数式として確定する必要あり
📌 例:B1:B10の最頻値をすべて求める
=MODE.MULT(B1:B10)
➡️ 「売れ筋商品が複数ある」「よく選ばれる回答が2種類ある」といったケースで力を発揮します。
・古いバージョンのMODE関数
=MODE(A1:A10)
- Excel 2007以前で使用されていた関数
- 現在は非推奨ですが、古いファイルとの互換性維持のために残されています
✅ 最頻値を活用する実務シナリオ
「最頻値を求める」だけでは意味が薄いですが、実務に落とし込むと強力な分析指標になります。
・アンケート集計で多数意見を把握
アンケートの自由回答や選択式回答では、最頻値を求めると「多数派の意見」が一目でわかります。
📌 例:「好きな飲み物は?」という質問で最頻値が「コーヒー」なら、参加者の最多意見が明確に。
・売上分析で「標準的な額」を把握
販売実績の金額や個数の最頻値を出せば、顧客が「最もよく買う価格帯・数量」を見つけられます。
📌 例:日別売上データの最頻値が「3,000円」なら、営業戦略上の目安金額として活用可能。
参考:【Excel】【営業向け】売上金額に応じてランクを自動表示するIF関数の使い方|簡単に業績ランク付け!
・人事・勤怠管理で業務負荷を見える化
社員の残業時間や出勤時間の最頻値を出せば、「一番多い働き方のパターン」が把握できます。
📌 例:残業時間の最頻値が「20時間」なら、多くの社員がその水準で働いていることが見えてくる。
参考:【Excel】【勤怠管理】遅刻・欠勤・早退を自動で判定するIF関数の使い方|勤怠チェックを効率化!
・品質管理で「標準状態」を確認
製造業や検査業務では、製品の測定値に最頻値を活用すると「正常時の基準」を導けます。
📌 例:検査データの最頻値が規格値に収まっていれば安定、一方で外れ値が多ければ異常を察知可能。
参考:【Excel】【在庫管理】在庫数に応じて発注判断を自動化するIF関数の設定方法|ムダなく効率的な仕入れを実現
✅ 最頻値と他の統計指標を組み合わせて理解を深める
最頻値だけを見てもデータの一部しかわかりません。
真に意味のある分析を行うためには、平均値・中央値・標準偏差 と一緒に考えることで「データの全体像」をより正確に捉えられます。
- 平均値 → データ全体の傾向を把握
- 中央値 → 外れ値に影響されない中心を示す
- 最頻値 → 多数派の意見・値を反映
- 標準偏差 → データの散らばり具合を数値化
📌 例:テストの点数データを分析した場合
- 平均 = 65点
- 中央値 = 68点
- 最頻値 = 70点
- 標準偏差 = 12
➡️ 解釈:「全体の傾向は65点付近にあるが、多くの学生は70点を取っており、点数の散らばりはそこそこある」という具体的な理解が可能になります。
こうした複数指標の掛け合わせは、「一見すると矛盾するように見えるデータの裏にある真実」を見抜く力 を養ってくれます。
✅ グラフで最頻値を直感的に伝える
数値だけでは理解しづらい検索結果も、グラフにすると一瞬で「どこが一番多いのか」が伝わります。特に以下の2つは、最頻値を視覚的に表す代表的な方法です。
・ヒストグラムで分布を可視化
- データ範囲を選択
- 「挿入」→「統計グラフ」→「ヒストグラム」
棒の高さがその区間のデータ件数を表し、最頻値に該当する階級が最も高く表示されます。
➡️ 「データの山の形」が一目でわかるため、ビジネスレポートやプレゼンでも説得力抜群。
・棒グラフ+条件付き書式で強調
- データ一覧に条件付き書式を設定し、最頻値を色付け
- 棒グラフを作成
これで「多数派の値」が一目で分かるビジュアルが完成します。
➡️ 単なる数値表から「インサイトが得られるグラフ」へと変わり、読み手の理解と興味を大きく引き上げられます。
✅ 最頻値を使うときの注意点
- 複数の最頻値がある場合はMODE.SNGLでは正確に把握できない
- 外れ値が多いと「最頻値だけでは誤解する」こともある
- データが少ないと偶然の偏りで最頻値が変わりやすい
■ まとめ:Excelで最頻値を求めてデータ分析を強化しよう
Excelで最頻値を求めるには、
- MODE.SNGL関数 → 単一の最頻値を取得
- MODE.MULT関数 → 複数の最頻値を取得
- ヒストグラムやグラフ → 視覚的にわかりやすく表示
を使い分けるのが基本です。
✅ まとめ:最頻値を使えば「多数派の意見」や「よく出るパターン」を把握でき、アンケート分析・売上データ分析・品質管理などあらゆる業務で実務的な洞察が得られる!