Excelでデータを管理していると「条件に一致するデータだけを一覧にしたい」というニーズが必ず出てきます。たとえば「売上10万円以上の商品だけを表示したい」「東京都の顧客リストだけを抽出したい」といったケースです。フィルター機能を使っても抽出は可能ですが、毎回操作するのは手間がかかります。
そんなときに便利なのが 関数を使った抽出方法 です。条件を数式として設定しておけば、データが更新されるたびに自動で抽出結果も切り替わります。この記事では、主要な関数の使い方から応用事例まで詳しく解説します。
目次
- ✅ Excelで条件に合うデータを抽出できる代表的な関数
- ✅ FILTER関数で条件に一致するデータを一発抽出
- ・FILTER関数の基本
- ・実例:売上10万円以上のデータを抽出
- ✅ IF関数で条件を判定して抽出
- ・IF関数の基本
- ・実例:売上10万円以上なら商品名を表示
- ・活用のポイント
- ✅ VLOOKUP関数で特定条件に合う値を取得
- ・VLOOKUPの基本
- ・実例:商品コード12345の売上額を取得
- ✅ INDEX関数+MATCH関数で柔軟に抽出
- ・基本構造
- ・実例:商品名から売上額を取得
- ✅ SUMIFS関数・COUNTIFS関数で条件集計
- ・実例:東京都の売上合計
- ・実例:売上10万円以上の件数
- ✅ 実務での応用シーン
- ・営業レポート
- ・人事管理
- ・在庫管理
- ✅ 関数で条件抽出する際の注意点とコツ
- ✅ 関数とフィルターの違いを理解する
- ■ まとめ:Excelで条件に合うデータを関数で効率的に抽出しよう
✅ Excelで条件に合うデータを抽出できる代表的な関数
条件抽出に使える代表的な関数は以下の通りです。
- FILTER関数:Excel 365以降で利用可能。条件に一致するデータをまとめて抽出。
- IF関数:条件に一致したら値を返す。単純な判定に有効。
- VLOOKUP関数:条件に一致する1件を検索。マスタ参照に便利。
- INDEX関数+MATCH関数:複雑な検索や複数条件に対応可能。
- SUMIFS関数・COUNTIFS関数:抽出ではなく条件集計に強い。
それぞれの関数を実例とともに解説していきます。
参考:【Excel】検索機能を使い必要なデータをすぐ見つける方法
✅ FILTER関数で条件に一致するデータを一発抽出
・FILTER関数の基本
Excel 365以降で使えるFILTER
関数は、条件に一致する行をまとめて抽出できる画期的な関数です。
書式
=FILTER(配列, 条件式, [抽出できないときの値])
・実例:売上10万円以上のデータを抽出
=FILTER(A2:C100, C2:C100>=100000, "該当なし")
この式では、売上金額(C列)が10万円以上の行だけを抽出し、該当がない場合は「該当なし」と表示します。
参考:【Excel】【営業向け】売上金額に応じてランクを自動表示するIF関数の使い方|簡単に業績ランク付け!
・特徴とメリット
- データが追加されても自動で反映
- 複数条件を「*」(AND)や「+」(OR)で指定可能
- 抽出結果が別表として一覧化されるため、レポート作成に最適
・デメリット
- Excel 365以前のバージョンでは使用できない
- 大量データで条件が複雑だと処理が重くなる
✅ IF関数で条件を判定して抽出
・IF関数の基本
=IF(論理式, 真の場合, 偽の場合)
・実例:売上10万円以上なら商品名を表示
=IF(C2>=100000, A2, "")
この式を下にコピーすると、売上が10万円以上の商品名だけが表示され、それ以外は空白になります。
・活用のポイント
- 判定結果をフラグとして残すことで後のフィルター操作が容易になる
- 複数条件も入れ子にすることで対応可能
・デメリット
- データを一覧として抽出するには別処理が必要
- 複雑な条件では数式が長くなり管理が難しい
参考:【Excel】IF関数で「#N/Aならば」を判定する方法とは?エラー制御で見やすいExcel表を作ろう
✅ VLOOKUP関数で特定条件に合う値を取得
・VLOOKUPの基本
=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, 検索方法)
・実例:商品コード12345の売上額を取得
=VLOOKUP(12345, A2:C100, 3, FALSE)
商品コードをキーにして売上額(3列目)を抽出します。
・特徴
- マスタ参照や特定条件1件の検索に便利
- 「完全一致」で使うのが基本
・注意点
- 左端列しか検索できない
- 複数条件には対応できない
参考:【Excel】IFNA関数とは?VLOOKUPとの組み合わせで使い方を完全解説!
✅ INDEX関数+MATCH関数で柔軟に抽出
・基本構造
=INDEX(返したい範囲, MATCH(検索値, 検索範囲, 0))
・実例:商品名から売上額を取得
=INDEX(C2:C100, MATCH("商品A", A2:A100, 0))
・メリット
- 列の位置に依存しない
- 複数条件を組み合わせればVLOOKUPの弱点を補える
・デメリット
- 初心者には少し複雑に感じやすい
- 数式が長くなることがある
参考:【Excel】IFNA関数で複数条件を処理する方法|VLOOKUP・INDEX/MATCH・IFとの組み合わせでExcel作業を効率化
✅ SUMIFS関数・COUNTIFS関数で条件集計
抽出というより「条件付き集計」に強い関数ですが、分析には欠かせません。
・実例:東京都の売上合計
=SUMIFS(C2:C100, B2:B100, "東京都")
・実例:売上10万円以上の件数
=COUNTIFS(C2:C100, ">=100000")
条件に合うデータの「件数」や「合計」を求めたいときに有効です。
参考:【Excel】SUMIFSによる複数条件の合計方法とは?Excelで精密な集計を実現する関数の使い方
✅ 実務での応用シーン
・営業レポート
特定地域・特定担当者の売上データだけをFILTER関数で抽出し、レポートを自動更新。
・人事管理
IF関数で「勤続5年以上」「評価A」などの条件に合う社員を抽出し、研修対象リストを作成。
・在庫管理
COUNTIFSで「在庫10未満の商品数」を自動カウントし、補充アラートとして利用。
参考:【Excel】【在庫管理】在庫数に応じて発注判断を自動化するIF関数の設定方法|ムダなく効率的な仕入れを実現
✅ 関数で条件抽出する際の注意点とコツ
- データ範囲をテーブル化しておくと数式管理が容易になる
- 複数条件は「AND」「OR」の構造を正しく理解する
- Excelのバージョンによって利用できる関数が異なる
- 関数が複雑になったら、シンプルに分割して使う方がメンテナンスしやすい
✅ 関数とフィルターの違いを理解する
- 関数の強み:自動更新・別表への出力が可能。繰り返し使う処理に強い。
- フィルターの強み:一時的な抽出や目視で確認したい場合に簡単。
実務では「分析やレポート作成は関数、日常的な確認はフィルター」という使い分けがおすすめです。
■ まとめ:Excelで条件に合うデータを関数で効率的に抽出しよう
Excelでは、関数を使うことで条件に合うデータを自動的に抽出できます。特に FILTER関数 は最新のExcelで非常に強力で、IF・VLOOKUP・INDEX+MATCHなどと組み合わせることで、複雑な条件でも柔軟に対応可能です。
✅ まとめ:Excel条件抽出は「FILTER関数で一発抽出」「IFやVLOOKUPで部分的検索」を使い分けることで、業務効率を飛躍的に高められる!