Excelを使っていると、「ある文字を入力したら自動で別の文字を表示したい」という場面があります。
たとえば、
- 「A」と入力したら「承認済」と自動で表示したい
- 「NG」と入力したら「要再確認」と表示させたい
- 「男」「女」と入力したら「男性」「女性」と表示したい
- 「1」を入力したら「完了」、それ以外は「未完了」など
このように「特定の文字を入れると文字が出る」仕組みは、IF関数をはじめとするExcelの標準関数だけで簡単に実現できます。
この記事では、IF関数を使った基本構文から、複数条件・部分一致・自動変換の応用例までを詳しく解説します。
データ入力を自動化したい方や、RPA・Power Automateなどと連携して処理を効率化したい方にもおすすめの内容です。
目次
- ✅ 基本:IF関数で「特定の文字を入れると文字が出る」を実現する
- ・構文
- ・もう少し複雑な例
- ✅ IFS関数で複数条件をスッキリ書く(Excel 2019以降)
- ✅ 部分一致で文字を出す(SEARCH関数と組み合わせ)
- ✅ 複数の文字パターンを判定する(OR関数の応用)
- ✅ 「特定の文字を入れたら自動で別セルに文字を出す」方法
- ✅ 特定の数値入力でも文字を出せる
- ✅ 空白セルのときに自動で文字を出す
- ✅ 入力内容に応じて別の列から文字を呼び出す(VLOOKUP関数)
- ✅ TEXTJOIN関数で「複数条件を満たしたら自動で文字を出す」
- ✅ SUBSTITUTE・CONCATで自動変換を作る(入力文字を置き換え)
- ✅ データの入力規則+リストで自動表示を補助
- ✅ 実務での応用例:自動判定シートを作る
- 活用例
- ✅ RPAやPower Automateとの組み合わせで完全自動化も可能
- ✅ まとめ:Excelで「特定の文字を入れると文字が出る」仕組みを使いこなそう
✅ 基本:IF関数で「特定の文字を入れると文字が出る」を実現する
最も基本的な方法は、IF関数を使って「もし〇〇なら△△」という条件を設定することです。
・構文
"=IF(論理式, 真の場合の値, 偽の場合の値)"
・例
"=IF(A2="A","承認済","未承認")"
この式では、A2に「A」と入力されたら「承認済」と表示され、
それ以外の文字や空白の場合は「未承認」と表示されます。
IF関数を使うことで、入力内容に応じて自動で別の文字を表示する仕組みが作れます。
・もう少し複雑な例
"=IF(A2="OK","完了",IF(A2="NG","要確認","未判定"))"
この式では、A2の入力に応じて自動で判定を変えられます。
入力 | 結果 |
---|---|
OK | 完了 |
NG | 要確認 |
それ以外 | 未判定 |
このようにIF関数を「入れ子」にすることで、複数条件にも対応可能です。
✅ IFS関数で複数条件をスッキリ書く(Excel 2019以降)
Excel 2019以降やMicrosoft 365では、IFS関数を使うと入れ子のIFをスッキリ書けます。
"=IFS(A2="A","承認済",A2="B","保留",A2="C","未承認")"
IFS関数では、条件と結果をペアで並べるだけなので、
条件が増えても見やすく、修正も簡単です。
✅ 部分一致で文字を出す(SEARCH関数と組み合わせ)
「Aで始まる」「〇〇を含む」など、部分的な一致条件にも対応したい場合は、
SEARCH関数を組み合わせます。
"=IF(ISNUMBER(SEARCH("返品",A2)),"要確認","OK")"
・解説
- SEARCH("返品",A2):A2の中に「返品」という文字がある位置を返す
- ISNUMBER関数:検索結果が数値ならTRUE(含まれている)
- IF関数:TRUEなら「要確認」、FALSEなら「OK」
たとえばA2が「返品依頼あり」であれば「要確認」と表示されます。
部分一致の自動判定に使える定番パターンです。
参考:【Excel】「セルに特定の文字が入っていたら」複数条件を判定する方法|IF・OR・SEARCH関数
✅ 複数の文字パターンを判定する(OR関数の応用)
「AまたはBが入力されたら同じ結果を出したい」ときは、OR関数を組み合わせます。
"=IF(OR(A2="A",A2="B"),"承認対象","対象外")"
A2に「A」または「B」が入力された場合、「承認対象」と自動表示されます。
部署コード・区分コードなどの入力自動化に最適です。
参考:【Excel】IF関数で複数条件を指定する方法とは?AND・OR・IFSまで完全ガイド!
✅ 「特定の文字を入れたら自動で別セルに文字を出す」方法
自動入力は同じセル内だけでなく、別のセルに結果を出すこともできます。
たとえば、A列に入力された文字に応じてB列に自動で文字を出したい場合:
B2に以下を入力します。
"=IF(A2="A","完了","未完了")"
このように、入力セル(A列)と出力セル(B列)を分けることで、
表の構造を保ちながら自動出力を実現できます。
実務では、入力担当と確認担当を分ける表などでよく利用されます。
✅ 特定の数値入力でも文字を出せる
IF関数は文字列だけでなく、数値にも対応します。
"=IF(A2>=80,"合格","不合格")"
この式では、A2の数値が80以上なら「合格」、それ以外なら「不合格」と表示。
点数・在庫数・売上金額などの判定に幅広く活用できます。
✅ 空白セルのときに自動で文字を出す
空欄のままだと分かりづらい表に対して、空白セルに自動でメッセージを出すことも可能です。
"=IF(A2="","未入力","入力済")"
A2が空欄なら「未入力」、入力されていれば「入力済」と自動表示。
入力チェックや進捗確認に役立ちます。
参考:【Excel】空白セルを正しく判定する方法とは?ISBLANK/=""/COUNTAの違いと使い分けを解説
✅ 入力内容に応じて別の列から文字を呼び出す(VLOOKUP関数)
もし「入力文字に対応した内容を自動で出したい」場合、
IF関数よりもVLOOKUP関数を使う方が効率的です。
・例
コード | 状態 |
---|---|
A | 承認済 |
B | 保留 |
C | 未承認 |
上記のようなマスタ表を別シート(例:「マスタ」)に作成し、
次の式を入力します。
"=VLOOKUP(A2,マスタ!A:B,2,FALSE)"
A2に「B」と入力すると、「保留」と自動表示されます。
条件が多い場合、IF関数よりもVLOOKUPの方が管理しやすくなります。
✅ TEXTJOIN関数で「複数条件を満たしたら自動で文字を出す」
複数条件が同時に成立したときに、複数の文字をまとめて表示したい場合は、
TEXTJOIN関数を使います。
"=TEXTJOIN("、",TRUE,IF(A2="A","承認",IF(B2="完了","完了報告","")))"
これにより、
- A列が「A」なら「承認」
- B列が「完了」なら「完了報告」
- 両方該当する場合は「承認、完了報告」
と自動で表示されます。
複数条件の自動表示に強いテクニックです。
参考:【Excel】セルの文字列を結合する方法|関数・演算子・TEXTJOIN・実務活用まで徹底解説
✅ SUBSTITUTE・CONCATで自動変換を作る(入力文字を置き換え)
「入力した文字を別の文字に自動変換」したいときは、
SUBSTITUTE関数を使うと便利です。
"=SUBSTITUTE(A2,"NG","要確認")"
A2に「NG」と入力された場合、自動で「要確認」に置き換えて表示。
簡単な自動変換ルールを作りたいときに役立ちます。
✅ データの入力規則+リストで自動表示を補助
特定の文字入力を自動表示と組み合わせるなら、データの入力規則を使うのも効果的です。
・操作手順
- 対象セルを選択
- [データ] → [データの入力規則] → 「リスト」を選択
- 「元の値」に「OK,NG,保留」などを入力
これでドロップダウンメニューが表示され、
入力ミスを防ぎながら特定の文字を選択できるようになります。
さらにIF関数と組み合わせれば、選択結果に応じた自動表示も可能です。
✅ 実務での応用例:自動判定シートを作る
Excelで「特定の文字を入れると文字が出る」機能を使うと、
手入力の手間を大幅に削減できるほか、誤入力を防げます。
活用例
- 進捗管理表:「完」「済」「未」で自動的に「完了」「作業中」「未着手」と表示
- アンケート集計:「○」「×」を入力すると「賛成」「反対」と表示
- 品質管理:「NG」と入れると「再検査」と表示
- 営業報告:「A」「B」「C」でランクや評価を自動反映
このように、Excel内で自動応答的に文字を出せることで、
報告・集計・確認作業がスムーズになります。
✅ RPAやPower Automateとの組み合わせで完全自動化も可能
Excelで「入力 → 自動出力」の仕組みを整えると、
UiPathやPower AutomateなどのRPAツールと連携してさらに効率化できます。
例えば:
- 入力セルに「NG」が入ったら、自動でSlackやメールに通知
- 「完了」と入力された行を別シートに転記
- 「保留」になっている案件を毎朝自動で抽出
このように、Excelの自動出力をトリガーにして外部自動化を動かすことで、
業務全体の自動化フローが構築できます。
✅ まとめ:Excelで「特定の文字を入れると文字が出る」仕組みを使いこなそう
- IF関数で「条件に応じて自動表示」を作れる
- IFS関数を使えば複数条件もスッキリ書ける
- SEARCH関数で「含む」や「部分一致」も対応可能
- VLOOKUPで入力内容に対応したマスタ表示を自動化
- 入力規則と組み合わせれば誤入力防止にも効果的
- TEXTJOIN・SUBSTITUTEで応用的な自動変換も可能
- RPAとの連携で業務全体の自動化も実現できる
Excelで「特定の文字を入れると文字が出る」機能を活用すれば、
入力作業の効率化・自動化・可視化が一気に進みます。
手作業での確認や入力を減らし、
“入力した瞬間に正しい結果が出る”スマートなExcelシートを作ってみてください。