Excelで業務データを扱っていると、「2つ以上の条件に当てはまるデータだけをカウントしたい」と思う場面はよくあります。たとえば、
担当者が「田中」かつステータスが「完了」の件数を数えたい
売上日が特定の期間内で、金額が1万円以上の件数を集計したい
地域が「関東」で商品種別が「A」の販売件数を知りたい
このような複数の条件に一致するデータのみを正確に集計するときに活用できるのが、COUNTIFS関数です。
本記事では、COUNTIFS関数の基本構文から複数条件の指定方法、応用テクニック、よくあるエラーと対策までを丁寧に解説します。
目次
- COUNTIFS関数とは?基本の概要と使いどころ
- ✅ 複数条件でデータをカウントする基本例
- 例1:担当者が「佐藤」、かつステータスが「完了」の件数をカウント
- 例2:売上金額が10,000円以上、かつ日付が2024年以降の件数を数える
- ・ COUNTIFSの条件の書き方ルール
- ✅ 空白を除外してカウントする方法
- ✅ OR条件(いずれかの条件に一致)で集計する方法
- ✅ 数式やセル参照を条件に使う方法
- ✅ 日付範囲でカウントする方法
- ✅ 複数条件×複数列のカウント方法(3条件以上)
- ■よくあるエラーとその対策
- ■COUNTIFS関数の活用例まとめ
- ■まとめ:COUNTIFSを使いこなして、正確な多条件集計をExcelで実現しよう
COUNTIFS関数とは?基本の概要と使いどころ
COUNTIFS関数は、2つ以上の条件に一致するセルの件数をカウントする関数です。
1条件だけを数える COUNTIF
関数とは異なり、複数の範囲×条件を同時に処理できるのが特徴です。
COUNTIFS関数の基本構文
=COUNTIFS(範囲1, 条件1, 範囲2, 条件2, ...)
範囲1:検索対象の1つ目の範囲
条件1:その範囲に対する検索条件
範囲2・条件2…:同様に、2つ目以降の条件を続けて記述可能
【Excel】COUNTIF/SUMIF関数を使って条件付き集計を行う方法とは?初心者向けに徹底解説!
✅ 複数条件でデータをカウントする基本例
【Excel】特定の文字列を条件にするVLOOKUPの使い方とは?IFやCOUNTIFと組み合わせて柔軟なデータ取得を実現する方法
例1:担当者が「佐藤」、かつステータスが「完了」の件数をカウント
A列:担当者名
B列:ステータス
式は以下のようになります。
=COUNTIFS(A2:A100, "佐藤", B2:B100, "完了")
この式では、**担当者が「佐藤」かつステータスが「完了」**の行だけをカウントします。
AND条件(両方満たす)が適用されるのがポイントです。
例2:売上金額が10,000円以上、かつ日付が2024年以降の件数を数える
C列:金額
D列:売上日
=COUNTIFS(C2:C100, ">=10000", D2:D100, ">=2024/1/1")
このように、数値や日付に対する条件指定も可能です。
・ COUNTIFSの条件の書き方ルール
条件のタイプ | 記述方法例 | 内容 |
---|---|---|
数値条件 | ">=10000" | 10000以上 |
文字列一致 | "完了" | 完全一致の文字列 |
日付指定 | ">=2024/1/1" | 2024年1月1日以降 |
含む判定 | "東京" | 東京を含む(ワイルドカード) |
空白除外 | "<>" | 空白でない |
空白のみ | "=" または "" | 空白のみ |
✅ 空白を除外してカウントする方法
入力があるセルのみで、「完了」になっているデータの件数を集計したい場合:
=COUNTIFS(A2:A100, "<>", B2:B100, "完了")
このように、空白でない+条件一致のような複合条件が簡単に指定できます。
【Excel】COUNTIFで空白を除外してカウントする方法|Excelで正確な集計を行うための実践テクニック
✅ OR条件(いずれかの条件に一致)で集計する方法
COUNTIFSはAND条件の関数ですが、OR条件を実現するには複数のCOUNTIFSを足し合わせるのが基本です。
例:担当者が「佐藤」または「田中」の件数をカウント
=COUNTIFS(A2:A100, "佐藤") + COUNTIFS(A2:A100, "田中")
このようにすることで、「佐藤」か「田中」のデータを合計して集計できます。
✅ 数式やセル参照を条件に使う方法
例:セルに入力されたしきい値を使ってカウント
C1:金額しきい値(例:10000)
式は次のように書けます:
=COUNTIFS(B2:B100, ">=" & C1)
条件に文字列連結(&)を使うのがポイントです。
">=" & C1 のように書くことで、セルの値を条件式として使えます。
✅ 日付範囲でカウントする方法
売上日が「2024年4月1日~2024年4月30日」の範囲にある件数を集計するには:
=COUNTIFS(D2:D100, ">=2024/4/1", D2:D100, "<=2024/4/30")
このように、同じ範囲に対して上下限の条件を2つ組み合わせて指定します。
✅ 複数条件×複数列のカウント方法(3条件以上)
COUNTIFS関数では、3つ以上の条件も以下のように記述可能です。
=COUNTIFS(A2:A100, "田中", B2:B100, "完了", C2:C100, ">=10000")
担当者が田中で、ステータスが完了、かつ売上が1万円以上という複合条件での集計が1式で完結します。
■よくあるエラーとその対策
エラー1:範囲のサイズが違う
COUNTIFSでは、すべての条件範囲のサイズが一致していないとエラーになります。
❌ 例:A2:A100, B2:B50 → NG
✅ 例:A2:A100, B2:B100 → OK
エラー2:文字列を条件に使うときの引用符忘れ
❌ =COUNTIFS(A2:A100, 完了)
→ エラー
✅ =COUNTIFS(A2:A100, "完了")
→ OK
文字列の条件は必ず "ダブルクォーテーション"
で囲むようにしましょう。
エラー3:日付を直接入力してもうまく動作しない
日付の条件は、"YYYY/MM/DD"の形式で文字列として記述するのが確実です。
または、セル参照を使うことで柔軟な設定が可能になります。
■COUNTIFS関数の活用例まとめ
活用シーン | 条件例 | 使用目的 |
---|---|---|
業務報告の集計 | 担当者が佐藤、ステータスが完了 | 個人別の完了件数を集計 |
アンケート回収管理 | 回答が「あり」、部署が「営業」 | 部署ごとの回答率を確認 |
売上分析 | 金額が1万円以上、かつ日付が当月 | 売上の閾値分析と月別集計 |
入力不備の検出 | 担当者欄が空白、ステータスが「完了」 | 入力ミスや入力漏れを自動で洗い出す |
■まとめ:COUNTIFSを使いこなして、正確な多条件集計をExcelで実現しよう
COUNTIFS関数を活用すれば、複数条件に合致するデータだけを正確に集計することができ、Excel作業の信頼性とスピードが大幅にアップします。
単なる合計ではなく、「誰が」「いつ」「どれだけ」など複数の切り口から集計することで、より実務的で分析しやすいデータ表が完成します。
特に以下のような業務で効果を発揮します:
営業活動の報告・成績管理
アンケート・調査結果の集計
売上・受注データの条件付き分析
入力ミスや不備の自動検出
複雑な条件でもCOUNTIFSなら1式で一括処理できます。ぜひ本記事を参考に、あなたのExcel業務に取り入れてみてください。