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【Excel】IF関数で複数条件を指定する方法とは?AND・OR・IFSまで完全ガイド!

Excelで条件分岐を行う場面は非常に多くありますが、「複数の条件を組み合わせたい」と思ったときに難しさを感じたことはありませんか?特にIF関数では1つの条件だけでなく、2つ以上の条件に基づいて判断したいケースが多く、その書き方や構文に悩む方も多いでしょう。

本記事では、IF関数を使った複数条件の記述方法について徹底解説します。「AND」「OR」「ネスト(入れ子)」「IFS関数」などを使った応用方法や実例も豊富に取り上げるので、実務にすぐ活かせる内容となっています。条件分岐をもっとスマートに、正確に処理したい方に最適なガイドです。

IF関数で複数条件を扱うための基本構造

まず、IF関数そのものの基本構文は次の通りです。

"=IF(論理式, 真の場合の値, 偽の場合の値)"

この「論理式」の部分に「複数の条件」を設定したい場合、「AND関数」「OR関数」「ネスト構造」などを併用する必要があります。

AND関数との組み合わせ:すべての条件を満たす場合

複数の条件をすべて満たしているかを判定したい場合は、「AND関数」を使用します。

例:国語と数学がともに60点以上なら「合格」

"=IF(AND(A2>=60, B2>=60), "合格", "不合格")"

ここでは、A2が国語、B2が数学の点数とし、両方の点数が60点以上であるときに「合格」と判定します。どちらか一方でも60点未満だと「不合格」となります。

・AND関数の構文

"=AND(条件1, 条件2, …)"

条件が3つでも4つでも、カンマで区切っていくことで複数の条件を設定できます。

OR関数との組み合わせ:いずれかの条件を満たせばOK

すべてではなく、いずれか1つでも条件を満たせばよい場合には「OR関数」を使用します。

例:国語または数学のどちらかが60点以上なら「再試験免除」

"=IF(OR(A2>=60, B2>=60), "再試験免除", "再試験")"

この式では、A2またはB2のどちらか一方でも60点以上であれば「再試験免除」と判定されます。

・OR関数の構文

"=OR(条件1, 条件2, …)"

AND関数と同様、複数の条件を並べて記述できます。

【Excel】条件付き書式とIF関数で視覚的に判断しやすくする方法とは?

AND・ORをIF関数内で入れ子にする

複雑な分岐ではANDとORを組み合わせることもできます。

例:英語が50点以上、かつ国語か数学のいずれかが60点以上なら「合格」

"=IF(AND(C2>=50, OR(A2>=60, B2>=60)), "合格", "不合格")"

A2:国語、B2:数学、C2:英語として、英語が50点以上かつ他のどちらかが60点以上のときに合格とします。このように入れ子にすることで柔軟な判定が可能になります。

【Excel】IF関数とは?使い方・複数条件・ネスト構造まで徹底解説!

IF関数のネスト(多段階条件)

複数の条件に対して異なる出力をしたい場合、IF関数を入れ子にすることで対応できます。

例:点数によって評価を変える

  • 80点以上 →「A」

  • 70点以上 →「B」

  • 60点以上 →「C」

  • それ未満 →「D」

このような場合、次のように記述します。

"=IF(A2>=80, "A", IF(A2>=70, "B", IF(A2>=60, "C", "D")))"

一つひとつ条件を内側に書いていきます。入れ子が深くなると読みづらくなるため、必要に応じてIFS関数を使うのが良いでしょう(後述)。【Excel】範囲を指定してPDF化する方法【必要な部分だけをPDFに!】

IFS関数:複数条件の簡潔な記述方法(Excel 2016以降)

Excel 2016以降のバージョンでは、「IFS関数」を使って複数条件をスマートに記述することが可能です。IF関数のネストよりも可読性が高く、保守性にも優れています。

例:上記の評価をIFS関数で書く場合

"=IFS(A2>=80, "A", A2>=70, "B", A2>=60, "C", A2<60, "D")"

・IFS関数の構文

"=IFS(条件1, 値1, 条件2, 値2, …)"

条件と値を交互に指定していきます。IF関数のネストに比べて見やすくなり、数式のエラーも減少します。

・実務で役立つ応用例

1. 勤怠管理で「遅刻」「早退」「欠勤」を判定

"=IF(A2="", "欠勤", IF(A2<TIME(9,0,0), "定時", "遅刻"))"

A2に出勤時刻が入力されていない場合は「欠勤」、9時前なら「定時」、それ以降なら「遅刻」と判定します。

2. 会計処理で条件によって消費税率を変える

"=IF(B2="軽減", A2*0.08, A2*0.10)"

商品種別(B2)が「軽減」なら8%、それ以外は10%の税率を適用するケースです。

3. 売上目標の達成度に応じて評価をつける

"=IF(A2>=1000000, "達成", IF(A2>=800000, "あと少し", "未達"))"

売上額に応じたランク付けを行いたいときに便利です。

よくあるミスと注意点

1. 複数条件の括弧ミス

複雑なIF式でカッコの閉じ忘れが起きやすいため、ネストやAND/ORの数に注意してください。

2. 値の比較に全角・半角の違い

"合格"と"合 格"のように、見た目が似ていても文字列が一致しないことがあります。数値と文字列を混在させる際は、スペースや文字の形式に注意が必要です。

3. IFS関数の未対応

IFS関数はExcel 2016以降でのみ利用可能です。古いバージョンの利用者がいる場合はIFのネストで対応する必要があります。

・まとめ:複数条件の制御はIF関数の真価を引き出す鍵

IF関数における複数条件の制御は、Excelを用いたあらゆる業務で必要不可欠なスキルです。AND関数やOR関数、さらにはIFS関数との組み合わせを理解することで、より柔軟なデータ処理が可能になります。

どの方法を使うべきかは状況によって異なりますが、重要なのは「分かりやすく・修正しやすい式を構築すること」です。可読性と保守性を意識しながら、自分の業務に最適な方法を選んでみてください。

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