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【Excel】IFS関数で計算式を使う方法|複雑な条件別計算もスッキリ書けるExcel関数活用術

Excelで「条件によって異なる計算を行いたい」と思ったとき、まず思いつくのはIF関数かもしれません。しかし、条件が3つ以上あるとIF関数はネスト(入れ子)構造になって読みづらくなりがちです

そこで便利なのが、Excel 2016以降で使えるIFS関数です。IFS関数を使えば、複数の条件ごとに異なる計算式を設定しやすくなり、可読性・保守性も向上します。

この記事では、IFS関数で計算式を使う方法について、構文の基本から実務に役立つ具体例、IF関数との違い、注意点まで詳しく解説します。

✅ IFS関数とは?IF関数との違いを理解しよう

・ IFS関数の特徴

IFS関数は、「ある条件が成立したらこの計算、別の条件なら別の計算」というように、複数の条件を1つの関数で処理できる関数です。

・ IFS関数の基本構文

"=IFS(条件1, 計算式1, 条件2, 計算式2, 条件3, 計算式3, ...)"

  • 条件1:最初に判定したい条件

  • 計算式1:条件1がTRUEのときに返す計算式や値

  • 条件2以降:次の条件と対応する処理

IFS関数では、最初にTRUEと判定された条件だけが実行され、以降の条件は無視されます

【Excel】IF関数と数式の組み合わせで動的な書式管理を実現する方法|Excel条件付き書式の実践活用術

・ IF関数とIFS関数の違い

比較項目IF関数IFS関数
複数条件の処理ネストが必要で複雑になりがち条件と処理をペアで記述し、読みやすい
構文の簡潔さ入れ子が深くなるとわかりづらい条件→結果を順番に並べるだけで済む
ELSE(それ以外)ELSE的な書き方が可能(最後に記述)"TRUE" を最後の条件に指定することで代用可能

実務でよく使う「IFS関数+計算式」のパターン別解説

・売上に応じて報酬率を変える計算方法

  • 売上が100万円以上 → 15%

  • 50万円以上 → 10%

  • それ未満 → 5%

このような条件で報酬を計算したい場合、IFS関数を使えば次のように書けます。

=IFS(A2>=1000000, A20.15, A2>=500000, A20.10, A2<500000, A2*0.05)

※A2が売上金額のセル

金額に応じた自動計算が1セルで完結し、ネストなしで見やすい式になります。

【Excel】【在庫管理】在庫数に応じて発注判断を自動化するIF関数の設定方法|ムダなく効率的な仕入れを実現

・点数に応じて評価ランクを計算式で表示する方法

  • 80点以上 → "A"

  • 70点以上 → "B"

  • 60点以上 → "C"

  • それ未満 → "D"

=IFS(B2>=80, "A", B2>=70, "B", B2>=60, "C", TRUE, "D")

ここでは最後に "TRUE" を指定して、いずれにも該当しない場合の処理を代用しています。

【Excel】【成績処理】複数教科の合否判定をIF関数で自動化する方法(合格/再試験/不合格)

・商品のカテゴリごとに消費税を計算する方法

  • 食品 → 8%

  • 衣料品 → 10%

  • 医薬品 → 非課税(税額0)

=IFS(C2="食品", B20.08, C2="衣料品", B20.10, C2="医薬品", 0)

  • B2:価格

  • C2:商品カテゴリ

→ カテゴリに応じた計算式(掛け算や定数)を組み込んだIFSの活用例です。

■ IFS関数で計算式を使うときの注意点

【Excel】IF関数を使った条件付き書式で見やすいExcel表を作る方法|色分けで視覚的に業務効率UP!

1. 条件の順序は「上から評価される」

IFS関数は、上から順に条件をチェックし、最初にTRUEになった処理だけが実行される仕様です。
そのため、次のような順序で書くと意図通りに動作しない可能性があります。

❌ 誤った順序:

=IFS(B2>=60, "C", B2>=80, "A")

→ 常に60以上の時点で止まってしまい、80以上も「C」と判定されます。

✅ 正しい順序:

=IFS(B2>=80, "A", B2>=60, "C")

2. ELSEのような「それ以外」には TRUE を使う

IFS関数には「ELSE」のような構文はありませんが、最後の条件にTRUEを指定することで、すべての条件に当てはまらないときの処理を記述可能です。

=IFS(条件1, 計算式1, ..., TRUE, その他の計算式)

3. すべての条件がFALSEだと「#N/A」エラーになる

IFS関数では、どの条件もTRUEにならなければエラーになります。
最後に必ずTRUE条件を入れておくことで、これを防ぐことができます。

4. 数式のセル参照に注意

セルに数値が空白または文字列のとき、条件式の判定が誤動作する可能性があります。
ISNUMBERIFERROR を併用して安全な判定にするのがおすすめです。

■ よくあるIFS関数のエラーとその原因

エラー内容原因解決方法
#VALUE! エラー構文ミス(括弧やカンマの抜け)数式を見直して条件と値のペアが正しいか確認
#N/A エラーすべての条件がFALSE最後に TRUE を入れてカバーする
常に同じ結果になる条件の順序が不適切より厳しい条件から順に記述

■ IFS関数+計算式が役立つ業務シーン例

活用場面処理内容
営業インセンティブ売上額に応じて報酬率を自動で変更
成績評価点数からランクを自動付与
経費精算勘定科目ごとに税率や控除額を変更
顧客管理利用状況に応じた割引率やステータスを自動設定
業務報告完了状況や納期超過に応じた計算や表示を動的に切り替える

■ まとめ:IFS関数×計算式でExcelの条件別処理をスマートに!

IFS関数は、複数の条件ごとに異なる処理を行う場合にとても便利な関数です。
特に計算式と組み合わせることで、条件に応じた金額計算・報酬判定・ランク付けなどをセル1つで実現でき、業務効率が大幅に向上します。

ポイントは以下の通り:

  • 条件→処理をセットで順に書けるため、可読性が高い

  • ネスト不要で、IF関数よりシンプル

  • TRUEで「それ以外」の処理を簡単に記述可能

  • 数値・文字・日付・セル参照など、柔軟に条件設定可能

IF関数では式が複雑になりすぎると感じていた方は、ぜひIFS関数を使った計算式にチャレンジしてみましょう。

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