Excelで売上表や見積書、在庫管理表などを作成していると、必ずと言っていいほど登場するのが「掛け算」です。
しかし実際には、「掛け算は * を使えばいいだけ」と思っている方も多く、PRODUCT関数やSUMPRODUCT関数との違いを理解しないまま使っているケースも少なくありません。
その結果、
- 計算式が複雑になって見づらくなる
- 集計ミスが起きる
- 後から修正しづらくなる
- 関数の意味が分からず保守できなくなる
といった問題が起きやすくなります。
特に実務では、単純な掛け算だけでなく、
- 単価 × 数量
- 人件費計算
- 加重平均
- 在庫金額計算
など、“複数行の掛け算と集計”を同時に行う場面が非常に多くあります。
この記事では、Excelで掛け算に使える関数や記号について、初心者にも分かりやすく整理しながら、実務でどのように使い分けるべきかまで詳しく解説していきます。
目次
- ✅ Excelの掛け算に「専用関数名」はあるの?
- ・Excelで掛け算に使える主な関数・記号
- ・そもそも「*」は関数ではない
- ・実務では「関数」と「演算子」を使い分けることが重要
- ✅ Excelで最も基本的な掛け算は「*」を使う
- ・単純な掛け算を行う方法
- ・セル参照を使った掛け算
- ・複数セルを掛ける場合
- ✅ PRODUCT関数で複数の値をまとめて掛け算する
- ・PRODUCT関数の基本構文
- ・セル参照で使用する例
- ・範囲指定で使用する例
- ・PRODUCT関数を使うメリット
- ・実務でよく使われる場面
- ✅ SUMPRODUCT関数で掛け算と合計を同時に行う
- ・SUMPRODUCT関数の基本構文
- ・売上集計の例
- ・SUMPRODUCT関数が実務で強い理由
- ・実務でよくある活用例
- ✅ Excel365では配列演算による掛け算も便利
- ・配列演算の例
- ・配列演算のメリット
- ・注意点
- ✅ 掛け算関数を使い分けるポイント
- ・おすすめの使い分け一覧
- ✅ Excelの掛け算でよくあるミスと対処法
- ・#VALUE! エラーが出る
- ・範囲の長さが違う
- ・計算順序ミス
- ✅ Excel VBAを使うと掛け算処理をさらに自動化できる
- ✅ まとめ:Excelの掛け算関数を正しく使い分けよう
- ・本記事のまとめ
✅ Excelの掛け算に「専用関数名」はあるの?
「Excel 掛け算 関数名」で検索している方の多くは、「SUMのように掛け算専用の関数があるのでは?」と考えています。
しかし実際には、Excelには“掛け算専用の基本関数”は存在しません。
そのため、掛け算では主に以下を使い分けます。
- 「*(アスタリスク)」演算子
- PRODUCT関数
- SUMPRODUCT関数
- 配列演算(Excel365以降)
ここを理解せずに使うと、「どの関数を選べばいいのか分からない」「計算式が長くなりすぎる」といった問題が起きやすくなります。
特に初心者の方は、PRODUCTとSUMPRODUCTの違いで混乱しやすいため、まずは“役割の違い”を理解することが重要です。
また、単純な掛け算なのか、集計まで含めたいのかによって最適な方法は変わります。
この違いを知っているだけで、実務でのExcel作業効率はかなり変わります。
・Excelで掛け算に使える主な関数・記号
| 関数・記号 | 役割 | 主な用途 |
|---|---|---|
| *(アスタリスク) | 掛け算の演算子 | 基本的な掛け算 |
| PRODUCT関数 | 複数の値を掛ける | 範囲をまとめて積計算 |
| SUMPRODUCT関数 | 掛け算結果を合計 | 売上集計・加重平均 |
| 配列演算 | 配列同士の掛け算 | Excel365以降の高速処理 |
・そもそも「*」は関数ではない
多くの人が勘違いしやすいですが、
"=A2*B2"
の「*」は関数ではありません。
これは“演算子”と呼ばれる記号です。
ただし、実務では最も使用頻度が高く、実質的には掛け算の基本機能として扱われています。
・実務では「関数」と「演算子」を使い分けることが重要
単純な掛け算なら、
"=A2*B2"
だけで十分です。
しかし、項目数が増えると、
"=A2B2C2D2E2"
のように長くなり、後から修正しづらくなります。
そのため、
- 少数セル → *
- 複数セル → PRODUCT
- 集計込み → SUMPRODUCT
のように使い分けることが重要です。
✅ Excelで最も基本的な掛け算は「*」を使う
Excelで最も基本的な掛け算方法は、「*(アスタリスク)」を使う方法です。
初心者の方ほど、「関数を覚えないと掛け算できない」と考えがちですが、実務ではこの方法が最もよく使われます。
逆に、PRODUCT関数ばかり使おうとすると、シンプルな計算まで複雑になることがあります。
まずは「*」を自然に使えるようになることが、Excel計算の第一歩です。
また、「*」は四則演算の基本でもあるため、今後の関数理解にも繋がります。
・単純な掛け算を行う方法
例:
"=3*5"
→ 結果は「15」
・セル参照を使った掛け算
例:
"=A2*B2"
→ A2とB2を掛けた結果を返します。
実務ではこちらが最も多く使われます。
例えば、
| 商品 | 単価 | 数量 | 金額 |
|---|---|---|---|
| A商品 | 100 | 3 | 300 |
のような売上表では、
"=B2*C2"
のように記述します。
・複数セルを掛ける場合
例:
"=A2B2C2"
複数の値を連続で掛けることも可能です。
ただし、セル数が増えると式が長くなりやすいため、後述するPRODUCT関数の方が見やすくなるケースもあります。
✅ PRODUCT関数で複数の値をまとめて掛け算する
PRODUCT関数は、複数の数値やセル範囲をまとめて掛け算できる関数です。
初心者の方は「*だけで十分では?」と思うかもしれません。
しかし実務では、式の見やすさや保守性が非常に重要になります。
特に、掛ける対象が増えると、
"=A2B2C2D2E2"
のような式は非常に読みにくくなります。
このような場面でPRODUCT関数を使うと、数式が整理され、後から見返した時にも理解しやすくなります。
・PRODUCT関数の基本構文
"=PRODUCT(数値1, [数値2], ...)"
・セル参照で使用する例
"=PRODUCT(A2, B2, C2)"
→ A2×B2×C2 の結果を返します。
・範囲指定で使用する例
"=PRODUCT(A2:C2)"
→ A2からC2までをまとめて掛け算します。
・PRODUCT関数を使うメリット
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 数式が見やすい | 長い掛け算を整理できる |
| 範囲指定できる | セル数が増えても対応しやすい |
| 保守しやすい | 修正時のミスを減らせる |
・実務でよく使われる場面
PRODUCT関数は以下のような場面で便利です。
- 利率の連続計算
- 複数係数の積計算
- 割引率計算
- 複数条件による補正値計算
特に「後から項目が増える可能性がある表」と相性が良いです。
PRODUCT関数を使うと、複数セルの掛け算をシンプルかつ見やすく整理できます。
ただし実務では、
・大量データを一括で掛け算したい
・行ごとに自動計算したい
・複数列をまとめて処理したい
・コピー作業を効率化したい
といった、「単純な積計算以上」の操作が必要になる場面も非常に多くあります。
特に売上表や在庫表では、“1件ずつ計算する”より、“まとめて処理する”考え方が重要になります。
掛け算を効率よく一括処理する方法を知りたい方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。
→ 【Excel】掛け算をまとめて行う方法|一括計算テクニックと関数活用術
✅ SUMPRODUCT関数で掛け算と合計を同時に行う
SUMPRODUCT関数は、実務で非常に使用頻度が高い関数です。
しかし初心者の方は、
- 名前が長くて難しそう
- PRODUCTとの違いが分からない
- 何に使うのかイメージできない
という理由で避けがちです。
実際には、売上集計や人件費計算など、“業務データ集計”で非常に強力な関数です。
ここを理解すると、Excelの実務レベルが一気に上がります。
・SUMPRODUCT関数の基本構文
"=SUMPRODUCT(範囲1, 範囲2)"
・売上集計の例
| 単価 | 数量 |
|---|---|
| 100 | 3 |
| 200 | 2 |
| 150 | 4 |
数式:
"=SUMPRODUCT(A2:A4, B2:B4)"
結果:
100×3 + 200×2 + 150×4
→ 「1300」
・SUMPRODUCT関数が実務で強い理由
通常であれば、
- 各行に掛け算列を作る
- 最後にSUM関数で合計する
という2段階が必要です。
しかしSUMPRODUCTなら、1つの式で完結できます。
・実務でよくある活用例
- 売上合計
- 加重平均
- 人件費集計
- 在庫金額計算
- 原価管理
特に「単価 × 数量」のような表では非常に強力です。
✅ Excel365では配列演算による掛け算も便利
Excel365やExcel2021では、動的配列機能によって、よりシンプルな掛け算が可能になっています。
ただし、古いExcelでは正常動作しない場合もあるため、会社PCなどでは注意が必要です。
特に互換性を考慮せずに配列演算を使うと、「他の人のPCで動かない」という実務トラブルに繋がることがあります。
・配列演算の例
"=SUM(A2:A4 * B2:B4)"
→ SUMPRODUCTと同じ結果を返します。
・配列演算のメリット
- 数式が短い
- 高速処理しやすい
- Excel365との相性が良い
・注意点
古いExcelでは正常に動作しないことがあります。
そのため、実務では環境に応じて、
- 古いExcel → SUMPRODUCT
- 最新Excel → 配列演算
のように使い分けることが重要です。
✅ 掛け算関数を使い分けるポイント
掛け算は単純な計算に見えますが、実務では「何をしたいか」によって使う方法が変わります。
ここを理解していないと、
- 無駄に複雑な式になる
- 集計列が増えすぎる
- 修正しづらくなる
- 計算ミスが起きる
といった問題が発生します。
そのため、「どの関数が最適か」を判断できるようになることが重要です。
・おすすめの使い分け一覧
| シーン | おすすめ |
|---|---|
| 2セルの掛け算 | "=A2*B2" |
| 複数セルの積 | "=PRODUCT(A2:C2)" |
| 売上集計 | "=SUMPRODUCT(A2:A10,B2:B10)" |
| 最新Excelの配列処理 | "=SUM(A2:A10*B2:B10)" |
✅ Excelの掛け算でよくあるミスと対処法
掛け算は単純な処理に見えますが、実務では意外とエラーが多い部分です。
特に、
- 空白セル
- 文字列混在
- 範囲ズレ
- 優先順位ミス
は非常によく発生します。
ここを理解していないと、「計算結果が合わない」という重大な業務ミスに繋がることがあります。
・#VALUE! エラーが出る
原因:
文字列や空白が含まれている
対処法:
- 数値変換する
- IF関数で制御する
- 入力規則を設定する
・範囲の長さが違う
例:
"A2:A10"
"B2:B9"
SUMPRODUCTでは範囲サイズが一致している必要があります。
・計算順序ミス
例:
"=A2+B2*C2"
Excelでは掛け算が優先されます。
必要に応じて、
"=(A2+B2)*C2"
のように括弧を使用しましょう。
掛け算の計算ミスは、単純な入力ミスだけでなく「参照セルのズレ」が原因になっているケースも非常に多くあります。
特に、オートフィルで数式をコピーした際に固定したかったセルまで動いてしまい、気づかないまま誤計算が発生することは実務でもよくあります。
「毎回同じ税率を掛けたい」「固定単価を参照したい」といった場面では、絶対参照の理解が非常に重要です。
計算式のズレを防ぎたい方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。
→ 【Excel】掛け算で固定値を使う方法|絶対参照で計算ミスを防ぐコツとは?
✅ Excel VBAを使うと掛け算処理をさらに自動化できる
大量データを扱う場合は、Excel関数だけでなくExcel VBAによる自動化も有効です。
例えば、
- 売上表を自動計算
- 毎月の集計を自動化
- データ追加時に自動計算
- 集計表を自動生成
など、関数だけでは管理しづらい処理も効率化できます。
特に実務では、「毎回同じ掛け算を繰り返す作業」を自動化できると、大幅な時短に繋がります。
✅ まとめ:Excelの掛け算関数を正しく使い分けよう
Excelでは、「掛け算専用の基本関数」は存在しません。
しかし、
- *(アスタリスク)
- PRODUCT関数
- SUMPRODUCT関数
- 配列演算
を適切に使い分けることで、効率的かつ見やすい計算が可能になります。
・本記事のまとめ
- 単純な掛け算は "*"
- 複数セルの積は PRODUCT
- 売上集計は SUMPRODUCT
- 最新Excelでは配列演算も便利
- 実務では「見やすさ」と「保守性」が重要
- 計算ミス防止には範囲確認が必須
掛け算はExcelの基本ですが、実務では非常に重要な計算処理です。
関数ごとの役割を正しく理解し、用途に応じて使い分けることで、業務効率や計算精度を大きく改善できるようになります。