Excelで作業をしていると、複数のセルに分かれている情報を1つにまとめたい場面は少なくありません。たとえば…
- 顧客リストで「姓」と「名」が別の列にある
- 商品コードとサイズが別々のセルに入力されている
- 郵便番号・住所・部屋番号が別セルに分かれている
- 見積書や注文書で仕様情報が分割されていて見にくい
このような状況で、1つのセルにまとめる方法を知らないと、コピペを繰り返す非効率な作業になってしまいます。
本記事では、Excelで複数セルのデータを1つのセルにまとめる方法を関数・操作・表示形式・応用テクニックの順に解説し、実務での活用例まで紹介します。
目次
✅ 複数セル結合の基本的な考え方
複数のセルを1つにまとめる方法は、大きく次の3パターンに分けられます。
- 関数で動的にまとめる(元データ更新に追従)
- 手動または貼り付けで固定する(一度きりの結合)
- 書式で見た目だけまとめる(結合せずにレイアウト調整)
どの方法を選ぶかは、「その後データが変わる可能性」と「まとめた後の用途」によって決まります。
1. 関数でまとめる|更新されても自動反映
関数を使えば、元データが変わったときに自動で結合結果も更新されます。
特に使われるのは 「&演算子」「TEXTJOIN関数」 の2つです。
1-1. &演算子
もっとも基本的な方法で、セルを「&」でつなぎます。
=A1 & " " & B1
例:
A1:「山田」
B1:「太郎」
→ 結果:「山田 太郎」
ポイント:
- 間にスペースや記号を入れるときは
" "のように引用符で囲む - 簡単だが列数が多いと式が長くなる
1-2. TEXTJOIN関数
Excel 2019以降やMicrosoft 365では、TEXTJOINが効率的です。
=TEXTJOIN(" ", TRUE, A1:C1)
- 第1引数は区切り文字(スペース、カンマなど)
- 第2引数がTRUEなら空白セルを無視
- 第3引数以降に結合したいセル範囲を指定
メリット:
- セル数が多くても短い式で書ける
- 空白セルを無視できるため住所やリスト結合に便利
参考:【Excel】セル結合 文字 そのまま|データを消さずに結合する方法と注意点
1-3. 改行付きでまとめる
住所やメモなどでは、1セルの中に改行を入れたいことがあります。
=A1 & CHAR(10) & B1
または
=TEXTJOIN(CHAR(10), TRUE, A1:C1)
※ 改行を反映するには [セルの書式設定] → [配置] → 「折り返して全体を表示する」にチェック
参考:【Excel】上付き文字を簡単に設定するショートカット【数式・単位表記に便利】
2. 手動でまとめる|単発作業に最適
1回だけの結合なら、関数を使わずに操作でまとめるほうが早い場合もあります。
2-1. 貼り付けの形式を利用
- 結合したいセルをコピー
- 貼り付け先で右クリック → [形式を選択して貼り付け] → [テキスト]
- 区切り文字が必要な場合は手動入力
この方法は、後から値が変わらない場合や、別シートにコピーして加工する場合に向いています。
2-2. フラッシュフィル(Excel 2013以降)
- 結合後の形を隣の列に入力(例:「山田 太郎」)
- [データ]タブ → [フラッシュフィル] または Ctrl+E
Excelがパターンを自動検出して、残りもまとめて変換してくれます。
3. 書式で見た目だけまとめる|セル結合を使わない方法
実務では「見た目をきれいにしたいがセル結合は避けたい」という場面もあります。
セル結合はソートやフィルタに悪影響を与えるため、代わりに「選択範囲内で中央」を使うのがおすすめです。
手順
- 複数セルを選択
- [ホーム] → [配置] → [セルを結合して中央揃え]ではなく
[セルの書式設定] → [配置] → [選択範囲内で中央]
こうすると、データは個別セルに残ったまま、見た目だけ中央に寄せられます。
参考:【エクセル】表を五十音順、数値の昇順、降順の並び替え方法
4. 実務シナリオ別の活用例
4-1. 氏名の結合
=TEXTJOIN(" ", TRUE, A2, B2)
「姓 名」形式で統一でき、印刷用書類に便利。
4-2. 住所データの作成
郵便番号、都道府県、市区町村、番地を結合し、発送ラベル用の1セルにまとめる。
=TEXTJOIN("", TRUE, B2:E2)
必要に応じて区切りや改行を挿入。
4-3. 商品コード作成
型番とサイズを「型番-サイズ」の形式に。
=A2 & "-" & B2
規格の一括変更や検索用コード作成に有効。
4-4. 複数条件のメモ統合
会議メモなど複数列にある内容を1セルにまとめ、CHAR(10)で改行すれば見やすさアップ。
参考:【VBA】セルに特定の文字が入っていた場合にIF文で複数条件を処理する方法
5. 作業効率を上げるテクニック
- 区切り文字は事前に決める(スペース・カンマ・改行など)
- 大量データはTEXTJOIN関数で一括処理
- 単発はフラッシュフィルや形式を選択して貼り付け
- 書類用は「選択範囲内で中央」で整える
- セル結合機能は極力避ける(並べ替え不可になるため)
✅ まとめ:複数セルの結合は「関数・操作・書式」の使い分けが鍵
Excelで複数セルを1つにまとめる方法は多数ありますが、ポイントは「データ更新の有無」と「結合後の用途」に合わせて選ぶことです。
- 元データが変わるなら 関数(TEXTJOIN・&演算子)
- 単発なら 貼り付けやフラッシュフィル
- 見た目だけ整えるなら 選択範囲内で中央
特に住所や氏名、商品コードなど繰り返し使うデータは、関数で自動化することで大幅な作業効率化が可能です。
反対に、印刷やレイアウト目的なら、セル結合を避けて書式設定で見た目を整えるほうが後の編集もスムーズになります。