Excelで日々データを扱っていると、「特定の文字が含まれていたら件数を数えたい」という場面は非常に多くあります。
たとえば、
- 顧客名に「東京」が含まれている件数を数えたい
- 備考欄に「返品」や「不良」と書かれた件数を把握したい
- 商品名に「Aシリーズ」を含むデータの数を集計したい
このような「特定の文字を含む場合だけカウント」する操作は、IF関数やCOUNTIF関数などのExcel標準関数だけで簡単に実現可能です。
この記事では、「Excel 特定の文字が含まれていたら カウント」というテーマで、
基本構文から応用・実務的な使い方までを丁寧に解説します。
また、後半では「複数文字」「部分一致」「除外条件」「RPA連携」など応用例も紹介します。
目次
- ✅ 基本:COUNTIF関数で「特定の文字を含むセル数」をカウントする
- ・構文
- ✅ 「前方一致」「後方一致」「完全一致」で使い分ける方法
- ✅ COUNTIFS関数で複数条件を同時に満たすセルをカウント
- ✅ SEARCH関数+IF関数で柔軟なカウント条件を作る
- ・構文
- ・合計する式
- ✅ 複数の文字を同時にカウントする(OR条件)
- ✅ 複数のキーワードを一括検索してカウントする(配列定数)
- ✅ 特定の文字を含まないセルをカウントする
- ✅ FIND関数で大文字・小文字を区別してカウントする
- ✅ LEN関数+SUBSTITUTEでセル内の出現回数を数える
- ・構文
- ✅ COUNTIF+SUMPRODUCTで範囲全体の出現回数をカウント
- ✅ FILTER関数で特定文字を含む行を抽出して件数をカウント(Excel 365)
- ✅ 条件付き書式と組み合わせて視覚的に分析
- ✅ 実務応用:コメント分析・エラーチェック・販売データ分類など
- ✅ RPA・Power Automateとの連携で自動カウント処理を実現
- ✅ まとめ:特定の文字をカウントしてExcel業務を自動化・効率化しよう
✅ 基本:COUNTIF関数で「特定の文字を含むセル数」をカウントする
最も基本的な方法は、COUNTIF関数を使うやり方です。
・構文
"=COUNTIF(範囲,"文字")"
アスタリスク「*」はワイルドカードで、
「任意の文字列を含む」という意味になります。
・例
"=COUNTIF(A2:A20,"東京")"
この式は、A2~A20の中で「東京」という文字を含むセルの数をカウントします。
「東京都港区」「東京支店」など、部分的に含まれていればすべてカウント対象です。
・POINT
COUNTIF関数は「完全一致」ではなく「部分一致」に対応しているため、
文字列の一部に特定の語句が含まれていても問題なくカウントできます。
✅ 「前方一致」「後方一致」「完全一致」で使い分ける方法
COUNTIF関数では、アスタリスク「*」の位置を変えることで一致条件を細かく制御できます。
条件タイプ | 構文例 | 意味 |
---|---|---|
部分一致 | "東京" | 「東京」を含むすべてのセル |
前方一致 | "東京*" | 「東京」で始まるセル(例:東京支店) |
後方一致 | "*東京" | 「東京」で終わるセル(例:本社東京) |
完全一致 | "東京" | 「東京」と完全に一致するセルのみ |
たとえば、「東京営業所」「東京支店」をカウントしたいなら "東京*"
、
「本社東京」「出張東京」を数えたいなら "*東京"
を使うのが正解です。
✅ COUNTIFS関数で複数条件を同時に満たすセルをカウント
「特定の文字を含む」だけでなく、「別の条件も満たす」データを数えたいときはCOUNTIFS関数を使います。
たとえば、「A列に“東京”を含み、B列の金額が1,000以上」の件数を求めたい場合:
"=COUNTIFS(A2:A20,"東京",B2:B20,">=1000")"
これにより、複数条件をAND条件(かつ)で評価して件数を返します。
営業分析や顧客データ分析など、実務で非常に頻出する構文です。
参考:【Excel】COUNTIFS関数の複数条件指定方法とは?Excelで精密なデータ集計を行う実務テクニック
✅ SEARCH関数+IF関数で柔軟なカウント条件を作る
COUNTIF関数は便利ですが、「大文字・小文字の区別をしたい」「複雑な条件を組みたい」場合は制限があります。
そのようなときは、SEARCH関数とIF関数の組み合わせで柔軟に対応できます。
・構文
"=IF(ISNUMBER(SEARCH("東京",A2)),1,0)"
・説明
- SEARCH関数が「東京」を見つけたら文字位置(数値)を返す
- ISNUMBERでTRUE/FALSEに変換
- TRUEなら「1」、FALSEなら「0」
これを全体に適用して合計すると、
「東京」を含むセルの件数を取得できます。
・合計する式
"=SUM(IF(ISNUMBER(SEARCH("東京",A2:A20)),1,0))"
この式を入力後、Ctrl+Shift+Enter(配列数式)で確定します(Excel 365では通常EnterでOK)。
SEARCH関数を使えば、文字列内の任意位置にある単語でも正確にカウントでき、
ワイルドカードよりも柔軟な条件設定が可能です。
✅ 複数の文字を同時にカウントする(OR条件)
実務では、「東京または大阪を含むセルの件数をカウントしたい」といった複数条件もよくあります。
その場合は、SUM関数とCOUNTIFを組み合わせます。
"=COUNTIF(A2:A20,"東京")+COUNTIF(A2:A20,"大阪")"
この式は、東京と大阪の両方を別々に数えて合計します。
重複セル(両方含む)を除外したい場合は少し工夫が必要ですが、
大半のケースではこの方法で十分対応できます。
参考:【Excel】IF関数で複数条件を指定する方法とは?AND・OR・IFSまで完全ガイド!
✅ 複数のキーワードを一括検索してカウントする(配列定数)
3つ以上のキーワードを一括で処理したい場合は、
COUNTIF関数を配列定数と一緒に使うとスッキリ書けます。
"=SUM(COUNTIF(A2:A20,{"東京","大阪","名古屋"}))"
この式では、「東京」「大阪」「名古屋」を含むセルをまとめてカウント。
SUMが3条件の結果を合計してくれます。
営業レポートやエリア分析など、複数都市を同時に集計したいときに役立ちます。
✅ 特定の文字を含まないセルをカウントする
逆に、「特定の文字を含まないセル」を数えることもできます。
"=COUNTIF(A2:A20,"<>東京")"
この式では、「東京」を含まないセルだけをカウントします。
データの除外確認や、条件外件数の算出に便利です。
✅ FIND関数で大文字・小文字を区別してカウントする
SEARCH関数は大文字・小文字を区別しません。
もし「A」と「a」を区別してカウントしたい場合はFIND関数を使用します。
"=SUM(IF(ISNUMBER(FIND("A",A2:A20)),1,0))"
この式では、完全一致(大文字小文字区別あり)で検索します。
コードや識別子の分析など、厳密なテキスト条件が必要な場面に向いています。
✅ LEN関数+SUBSTITUTEでセル内の出現回数を数える
COUNTIFやSEARCHでは「セルに含まれるかどうか」はわかりますが、
1つのセル内で何回登場するかまではわかりません。
その場合は、LEN関数とSUBSTITUTE関数を組み合わせます。
・構文
"=LEN(A2)-LEN(SUBSTITUTE(A2,"東京",""))"
この式は、A2の中で「東京」が出てくる回数を数えます。
・説明
- LEN(A2):文字列の全体文字数を取得
- SUBSTITUTE(A2,"東京",""):「東京」を空文字に置換
- 引き算して「減った文字数」=「出現回数×2文字」
→ つまり「東京」が2回あれば結果は4。
出現数にするなら「÷LEN("東京")」を追加。
"=(LEN(A2)-LEN(SUBSTITUTE(A2,"東京","")))/LEN("東京")"
この式で、セル内の「東京」の出現回数を正確に数えられます。
✅ COUNTIF+SUMPRODUCTで範囲全体の出現回数をカウント
複数セルに分かれている場合、SUMPRODUCT関数を使うことで範囲全体を一括カウントできます。
"=SUMPRODUCT(LEN(A2:A20)-LEN(SUBSTITUTE(A2:A20,"東京","")))/LEN("東京")"
これで、A2:A20の中に「東京」が何回出現したかを総計できます。
文字列の頻度を分析したい場合などに有効です。
✅ FILTER関数で特定文字を含む行を抽出して件数をカウント(Excel 365)
Microsoft 365やExcel 2021以降を使っている場合は、FILTER関数を使えば
条件を満たすデータを自動抽出し、その件数をカウントできます。
"=COUNTA(FILTER(A2:A100,ISNUMBER(SEARCH("東京",A2:A100))))"
この式では、A列の中で「東京」を含むセルを抽出し、COUNTAで件数を数えます。
FILTER関数は結果が動的に更新されるため、データが追加されても自動で再計算されます。
参考:【Excel】検索機能を付ける方法まとめ|関数・フィルター・検索ボックスで便利に使う
✅ 条件付き書式と組み合わせて視覚的に分析
特定文字を含むセルを色分けして視覚的に確認する方法も効果的です。
手順:
- A列全体を選択
- [ホーム] → [条件付き書式] → [新しいルール]
- 「数式を使用して書式を設定」を選択
- 数式欄に次を入力:
"=ISNUMBER(SEARCH("東京",A1))" - 塗りつぶし色を設定
これで、「東京」を含むセルが自動的に色付けされます。
数式の動作確認にも使える便利な補助機能です。
✅ 実務応用:コメント分析・エラーチェック・販売データ分類など
この「特定の文字を含む場合にカウント」する仕組みは、
日常業務のあらゆるデータ処理で応用できます。
- 顧客アンケート分析:「良い」「満足」「不満」などのキーワード別件数を自動集計
- エラーチェック:「NG」「Error」「未入力」などのセル数を検出してレポート化
- 売上分析:「A商品」「Bシリーズ」などの文字を含む件数でグループ分類
- サポート業務:「至急」「要対応」など緊急度を含むメール内容の自動カウント
Excelだけで完結するため、RPA導入前の前処理や検知機能としても活用できます。
✅ RPA・Power Automateとの連携で自動カウント処理を実現
特定文字のカウント処理をExcelで整備しておけば、
UiPathやPower AutomateなどのRPAツールと組み合わせて完全自動処理が可能になります。
- 「至急」や「確認」と含むデータ件数が一定以上なら自動メール送信
- 「エラー」や「返品」を含む件数を定期レポート化
- ExcelをRPAのトリガーとして利用
Excel側でCOUNTIFやSEARCHの仕組みを構築しておくと、
RPA側のロジックがシンプルになり、業務自動化が安定します。
✅ まとめ:特定の文字をカウントしてExcel業務を自動化・効率化しよう
- COUNTIF関数で「特定の文字を含むセル」を簡単にカウントできる
- SEARCH+IFで柔軟な条件判定が可能
- LEN+SUBSTITUTEでセル内出現回数を正確に数えられる
- FILTER関数で抽出とカウントを同時に実現(Excel 365対応)
- 条件付き書式で視覚的な確認も可能
- 複数条件はCOUNTIFSやSUMPRODUCTで対応
- RPA連携で業務を完全自動化できる
Excelでの文字カウントは、単なる数え上げにとどまらず、
データ分析・品質管理・自動化の基盤となるスキルです。
特定文字のカウントをマスターすることで、
日々のExcel業務を効率的にし、分析や自動処理の精度を大幅に高めることができます。