Excelでデータを整理していると、「文字列の後ろ(末尾)に特定の文字を自動的に追加したい」という場面は非常に多くあります。
たとえば、
- 顧客名の後ろに「様」をつけたい
- 商品コードの末尾に「-A」や「-完」を追加したい
- 金額の後ろに「円」をつけたい
- 数値の後ろに「個」「点」などの単位を入れたい
これらの操作を手動で行うと時間がかかり、入力ミスも増えてしまいます。
しかし、Excelの関数を使えば、後ろに文字を自動でつける処理を一括で実行できます。
この記事では、Excelの関数を使って「後ろに文字をつける」方法を、
初心者から実務レベルまで丁寧に解説します。
目次
- ✅ 基本:&(アンパサンド)で後ろに文字をつける
- ・構文
- ・例1:顧客名の後ろに「様」を追加
- ・例2:商品コードの後ろに「-A」を追加
- ・例3:金額の後ろに「円」を追加
- ✅ CONCATENATE関数で文字列を結合して末尾追加
- ・構文
- ・例:商品コードの後ろに「-完」をつける
- ・例:複数列のデータをまとめて末尾追加
- ✅ TEXT関数で数値に単位をつけて末尾に追加
- ・構文
- ・例1:数値の後に「円」をつける
- ・例2:数量の後に「個」をつける
- ・例3:小数点付きの数値に単位を追加
- ✅ IF関数と組み合わせて条件付きで末尾に文字を追加
- ・構文
- ・例1:B列が「完了」のときだけ末尾に「済」を追加
- ・例2:数値が100以上なら「円(税込)」を追加
- ✅ CONCAT関数で柔軟な末尾追加を実現(Excel 2019以降)
- ・構文
- ・例:社員番号の後ろに「-更新済」を追加
- ・例:複数セルを組み合わせて末尾に文字を追加
- ✅ TEXTJOIN関数で複数データを結合しつつ末尾文字を追加
- ・構文
- ・例:商品名と価格を連結して末尾に「円」を追加
- ✅ 末尾に追加した結果を固定する方法(値貼り付け)
- ・操作手順
- ✅ LEFT・RIGHT関数と組み合わせて制御する応用テクニック
- ・構文
- ✅ 実務応用例:後ろに文字をつける関数の活用シーン
- ✅ 関数での処理をRPAやPower Automateで自動化する
- ・自動化の例
- ✅ よくある質問(FAQ)
- ✅ まとめ:Excel関数で後ろに文字をつけて業務を自動化しよう
✅ 基本:&(アンパサンド)で後ろに文字をつける
最もシンプルで多くの場面で使える方法が、&(アンパサンド)演算子を使う方法です。
・構文
"=A2 & "追加したい文字""
・例1:顧客名の後ろに「様」を追加
"=A2 & "様""
A2が「田中」なら、「田中様」と表示されます。
この方法はシンプルかつ軽量で、どのバージョンのExcelでも使えます。
・例2:商品コードの後ろに「-A」を追加
"=A2 & "-A""
A2が「123」なら、「123-A」と表示されます。
・例3:金額の後ろに「円」を追加
"=A2 & "円""
A2が「5000」なら、「5000円」と表示されます。
・POINT
- 「&」は文字列を結合する記号
- 左側が元の文字、右側が追加したい文字
- ダブルクォーテーション("")で文字列を囲む
非常にシンプルで理解しやすいため、Excel初心者にもおすすめの方法です。
✅ CONCATENATE関数で文字列を結合して末尾追加
もう少し関数らしい書き方をしたい場合は、CONCATENATE関数を使う方法があります。
・構文
"=CONCATENATE(A2,"追加文字")"
・例:商品コードの後ろに「-完」をつける
"=CONCATENATE(A2,"-完")"
A2が「A100」なら、「A100-完」と表示されます。
・POINT
- Excel 2019以降では
CONCAT()
に置き換え可能 - 複数セルの結合にも対応(例:"=CONCATENATE(A2,B2,"円")")
- 古いバージョンとの互換性が高い
・例:複数列のデータをまとめて末尾追加
"=CONCATENATE(A2,B2,"円")"
A2に「商品名」、B2に「価格」がある場合、
「ノート100円」のように結合できます。
この方法なら、異なる列のデータを結合しながら末尾に文字を追加することができます。
✅ TEXT関数で数値に単位をつけて末尾に追加
数値に「円」や「個」などの単位を追加する場合は、TEXT関数を使うのが最も便利です。
・構文
"=TEXT(数値セル,"表示形式") & "単位""
・例1:数値の後に「円」をつける
"=TEXT(A2,"#,##0") & "円""
A2が「5000」なら、「5,000円」と表示されます。
・例2:数量の後に「個」をつける
"=TEXT(A2,"0") & "個""
A2が「10」なら、「10個」となります。
・例3:小数点付きの数値に単位を追加
"=TEXT(A2,"0.00") & "kg""
A2が「2.5」なら、「2.50kg」と表示されます。
・POINT
TEXT関数を使うと、見た目の書式を維持したまま文字列化できるため、
報告書や見積書などフォーマットが重要な文書で重宝します。
参考:【Excel】曜日を扱う関数の使い方まとめ【TEXT関数・WEEKDAY関数・CHOOSE関数】
✅ IF関数と組み合わせて条件付きで末尾に文字を追加
条件を満たしたときだけ文字をつけたい場合は、IF関数と「&」を組み合わせます。
・構文
"=IF(条件, A2 & "追加文字", A2)"
・例1:B列が「完了」のときだけ末尾に「済」を追加
"=IF(B2="完了",A2 & "-済",A2)"
B2が「完了」なら「123-済」、
そうでない場合は「123」のまま表示されます。
・例2:数値が100以上なら「円(税込)」を追加
"=IF(A2>=100,A2 & "円(税込)",A2 & "円")"
このように条件に応じて末尾の文字を変えることも可能です。
参考:【Excel】IF関数と数式の組み合わせで動的な書式管理を実現する方法|Excel条件付き書式の実践活用術
✅ CONCAT関数で柔軟な末尾追加を実現(Excel 2019以降)
Excel 2019以降やMicrosoft 365では、CONCAT関数を使うのが推奨されています。
・構文
"=CONCAT(A2,"追加文字")"
・例:社員番号の後ろに「-更新済」を追加
"=CONCAT(A2,"-更新済")"
A2が「E001」なら、「E001-更新済」と表示されます。
・例:複数セルを組み合わせて末尾に文字を追加
"=CONCAT(A2,"-",B2,"完了")"
A2が「E001」、B2が「2025」なら、「E001-2025完了」となります。
CONCAT関数は「&」よりも可読性が高く、複数の要素を扱う場合に便利です。
✅ TEXTJOIN関数で複数データを結合しつつ末尾文字を追加
さらに柔軟に結合処理をしたい場合は、TEXTJOIN関数が便利です。
区切り文字を自動挿入して、末尾に特定文字を追加することができます。
・構文
"=TEXTJOIN("区切り文字",TRUE,A2,B2,"末尾文字")"
・例:商品名と価格を連結して末尾に「円」を追加
"=TEXTJOIN("",TRUE,A2,B2,"円")"
A2が「ノート」、B2が「100」なら、「ノート100円」と表示されます。
・POINT
- 複数のセルを簡単に連結可能
- 区切り文字を自動的に挿入
- TRUEにすることで空白セルを無視
報告書や一覧表をきれいに整形したい場合におすすめです。
✅ 末尾に追加した結果を固定する方法(値貼り付け)
関数を使うと「式」として結果が表示されるため、
再計算やセル削除の影響を受けることがあります。
そこで、末尾を追加した結果を固定値に変換しておくのが安全です。
・操作手順
- 関数結果のセルをコピー(Ctrl + C)
- 右クリック → 「形式を選択して貼り付け」
- 「値」を選択してOK
これで、数式が消え、文字列として確定します。
印刷や外部ファイルへの出力時に崩れる心配がなくなります。
✅ LEFT・RIGHT関数と組み合わせて制御する応用テクニック
すでに末尾に特定の文字がある場合に「二重追加」を防ぐには、
RIGHT関数を組み合わせます。
・構文
"=IF(RIGHT(A2,1)="円",A2,A2 & "円")"
A2の末尾がすでに「円」なら何もしません。
そうでなければ、「円」を追加します。
・POINT
- RIGHT関数:右端からn文字を取得
- IFで条件分岐すれば安全な追加処理が可能
この方法を使えば、既存データに上書きする心配がなくなります。
✅ 実務応用例:後ろに文字をつける関数の活用シーン
業務シーン | 目的 | 使用関数例 |
---|---|---|
顧客リスト | 名前の後に「様」追加 | =A2 & "様" |
商品マスタ | 商品コードの末尾に分類コード追加 | =A2 & "-A" |
金額データ | 数値の後に単位追加 | =TEXT(A2,"#,##0") & "円" |
タスク管理 | 完了済みの項目に「-済」を追加 | =IF(B2="完了",A2 & "-済",A2) |
在庫データ | 条件付きで「補充要」などの文字を付加 | =IF(A2<10,A2 & "(補充要)",A2) |
こうした末尾文字追加のテクニックは、
日報・報告書・請求書・在庫管理など、あらゆる場面で役立ちます。
✅ 関数での処理をRPAやPower Automateで自動化する
Excelの関数を使って末尾に文字を追加する処理は、
RPA(UiPath・Power Automate)との連携にも向いています。
・自動化の例
- Excelでデータを読み込み
- 関数で末尾に「-済」や「円」を自動付加
- 結果を保存してメール送信
Power Automateを使えば、特定フォルダにファイルが追加されたら自動実行といった処理も可能です。
Excelの末尾追加を自動化すれば、データ整形の手間をゼロにできます。
✅ よくある質問(FAQ)
Q1:末尾にスペースを追加したいときは?
→ "=A2 & " ""
のように、半角スペースを文字列として追加できます。
Q2:複数文字を同時に追加することはできる?
→ "=A2 & "様(完了)"
のように、好きな文字をまとめて追加できます。
Q3:特定の列だけに追加したい場合は?
→ 対象列にだけ関数を設定し、オートフィルで一括適用します。
✅ まとめ:Excel関数で後ろに文字をつけて業務を自動化しよう
- 「&」で最も簡単に末尾に文字を追加できる
- CONCAT・TEXT・IF関数を組み合わせると柔軟に制御可能
- RIGHT関数で重複追加を防止できる
- 値貼り付けで結果を固定して安心運用
- Power Automateなどと連携すれば完全自動化も可能
Excelで「後ろに文字をつける」処理を関数で自動化できれば、
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