Excelを使っていて、「特定の文字を含むデータだけを取り出したい」「シート全体から条件に合う行を抽出したい」と思ったことはありませんか?
特にデータ量が多いシートでは、手作業で検索するのは時間がかかります。
しかしExcelには、関数やフィルター、検索機能を組み合わせることで、条件に合うデータだけを自動的に抽出する方法がいくつも存在します。
この記事では、初心者から中級者まで役立つ「Excelの検索・抽出テクニック」を、
実務で使える具体例とともに詳しく紹介します。
目次
- ✅ Excelで「検索」と「抽出」の違いを理解しよう
- ✅ 方法①:検索ボックスでシート内のデータを探す(基本)
- ・データを探す手順
- ・例:ワイルドカードを使う検索
- ✅ 方法②:オートフィルターで条件に合う行を抽出する
- ・オートフィルターを使う手順
- ・例1:特定の文字を含む行を抽出
- ・例2:部分一致検索で抽出
- ・例3:複数条件抽出
- ✅ 方法③:関数で条件に合うデータを自動抽出する(FILTER関数)
- ・FILTER関数の構文
- ・例1:「都道府県」が「東京」の行だけ抽出
- ・例2:部分一致で抽出
- ・例3:複数条件で抽出
- ✅ 方法④:検索関数を使って特定データを取得する(VLOOKUP/XLOOKUP)
- ・VLOOKUP関数の構文
- ・例1:「商品名」から「価格」を取得
- ・例2:セル参照で動的検索
- ・XLOOKUP関数(Excel 365以降)
- ・例3:「店舗名」から「担当者」を抽出
- ✅ 方法⑤:条件付き書式で検索結果をハイライト表示する
- ・手順
- ・例:セル参照で動的検索
- ✅ 方法⑥:複数シートから検索・抽出する方法
- ・手動で検索する場合
- ・関数で抽出する場合
- ・例:「東京支店」シートのB2を参照して値取得
- ✅ 実務で使える「検索・抽出」活用例
- ✅ RPAやPower Automateと組み合わせるとさらに効率的
- ・自動化の例
- ✅ まとめ:Excelの検索・抽出を使いこなして作業効率を最大化しよう
✅ Excelで「検索」と「抽出」の違いを理解しよう
まず最初に、検索と抽出の違いを整理しておきましょう。
- 検索(Search):
→ 特定の文字列や数値をシート全体から探し出すこと。
(例:「東京」と入力されたセルを見つけたい) - 抽出(Filter):
→ 条件に合うデータだけを一覧で表示すること。
(例:「都道府県が東京の行だけを表示したい」)
検索は「探す」、抽出は「絞り込む」と考えると分かりやすいでしょう。
Excelでは、これらを手動でも関数でも実行できます。
✅ 方法①:検索ボックスでシート内のデータを探す(基本)
まずは最も基本的な「検索機能」の使い方です。
・データを探す手順
- Ctrl + F を押す(検索ボックスを開く)
- 検索したい文字列を入力(例:「東京」)
- 「すべて検索」または「次を検索」をクリック
これで、シート内に含まれるすべての「東京」を見つけることができます。
・POINT
- 「検索オプション」から部分一致/完全一致を切り替え可能
- 検索範囲を「シート全体」または「ブック全体」に設定できる
- ワイルドカード(*や?)を使うとあいまい検索も可能
・例:ワイルドカードを使う検索
検索語句 | 意味 | 検出対象 |
---|---|---|
東* | 「東」で始まる文字列 | 東京・東北・東海 |
*県 | 「県」で終わる文字列 | 神奈川県・大阪府(※府は除外) |
Excel標準の「検索機能」は、特定文字の場所を調べたいときに非常に便利です。
ただし、「条件に合うデータだけを一覧表示したい」ときは、次で紹介する「抽出」機能を使います。
✅ 方法②:オートフィルターで条件に合う行を抽出する
Excelのオートフィルター機能を使うと、条件に合うデータだけを簡単に表示できます。
日常業務で最もよく使われる抽出方法です。
・オートフィルターを使う手順
- 抽出したいデータ範囲を選択
- [データ] タブ → [フィルター] をクリック
- 各列の▼をクリックし、検索条件を設定
・例1:特定の文字を含む行を抽出
- 「都道府県」列の▼をクリック
- 「検索ボックス」に「東京」と入力
- チェックボックスで「東京都」を選択
- OK
→ 「東京都」に関する行だけが表示されます。
・例2:部分一致検索で抽出
フィルターの検索ボックスで「東」と入力すれば、
「東京都」「東北」「東海地方」など**“東”を含む全データ**を抽出可能。
・POINT
- 検索ボックスで部分一致検索が可能
- 数値条件も「より大きい」「より小さい」で抽出できる
- AND/OR条件も設定可能(例:「東京」かつ「在庫あり」)
参考:【Excel】IF関数で複数条件を指定する方法とは?AND・OR・IFSまで完全ガイド!
・例3:複数条件抽出
「地域=関東」かつ「売上>100000」など、複合条件も設定可能。
- 「数値フィルター」→「指定の値より大きい」
- 「テキストフィルター」→「次の値を含む」
オートフィルターは直感的に使えるうえ、再利用も簡単です。
参考:【Excel】検索システムを作る方法(マクロなし)まとめ|関数とフィルターで効率化
✅ 方法③:関数で条件に合うデータを自動抽出する(FILTER関数)
Excel 365または2021以降をお使いなら、
FILTER関数で条件に合うデータを自動抽出するのが最もスマートです。
・FILTER関数の構文
"=FILTER(抽出範囲, 抽出条件)"
・例1:「都道府県」が「東京」の行だけ抽出
"=FILTER(A2:C100, B2:B100="東京")"
A列 | B列 | C列 |
---|---|---|
店舗名 | 都道府県 | 売上 |
東京本店 | 東京 | 500000 |
大阪支店 | 大阪 | 300000 |
→ 「東京」の行だけが自動的に表示されます。
・例2:部分一致で抽出
"=FILTER(A2:C100, ISNUMBER(SEARCH("東",B2:B100)))"
→ 「東」を含む行(東京・東海など)をすべて抽出します。
・例3:複数条件で抽出
"=FILTER(A2:C100, (B2:B100="東京")*(C2:C100>=300000))"
→ 「東京」かつ「売上30万以上」の行だけ抽出。
・POINT
- 抽出結果は自動で更新される
- 複数条件の組み合わせが柔軟
- データが変わるとリアルタイムに再計算
FILTER関数を使えば、「条件を変えるだけで抽出結果を更新」できるため、
月次集計や営業データ分析に最適です。
✅ 方法④:検索関数を使って特定データを取得する(VLOOKUP/XLOOKUP)
「特定のキーワードに対応するデータを取り出したい」ときは、
VLOOKUP関数やXLOOKUP関数が有効です。
・VLOOKUP関数の構文
"=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, 検索方法)"
参考:【ChatGPT】VLOOKUP関数を自動生成する方法|手順・聞き方・注意点を徹底解説
・例1:「商品名」から「価格」を取得
"=VLOOKUP("りんご",A2:C100,2,FALSE)"
商品名 | 価格 | 在庫 |
---|---|---|
りんご | 120 | あり |
みかん | 90 | なし |
→ 「りんご」の価格「120」を返す。
・例2:セル参照で動的検索
"=VLOOKUP(E2,A2:C100,2,FALSE)"
E2セルに検索キーワード(例:「みかん」)を入力すれば、
その値に応じて結果が自動的に変わります。
・XLOOKUP関数(Excel 365以降)
"=XLOOKUP(検索値, 検索範囲, 返す範囲, 見つからないときの値)"
VLOOKUPの上位互換で、列の順序に制約がないのが特徴です。
・例3:「店舗名」から「担当者」を抽出
"=XLOOKUP(E2,A2:A100,C2:C100,"該当なし")"
→ 入力した店舗名に対応する担当者を返す。
・POINT
- 一致検索は「FALSE」指定で正確に検索
- XLOOKUPは左右どちらの方向も検索可能
- 検索結果がない場合は「該当なし」を設定できる
VLOOKUPやXLOOKUPは、「検索と抽出を1ステップで行う」便利な関数です。
✅ 方法⑤:条件付き書式で検索結果をハイライト表示する
データ量が多いとき、「検索した文字を含むセルを目立たせたい」場合は、
条件付き書式を使って自動的に色を付けることもできます。
・手順
- 対象範囲を選択(例:A2:A100)
- [ホーム] → [条件付き書式] → [新しいルール]
- 「数式を使用して書式設定を決定」を選択
- 次の式を入力
"=ISNUMBER(SEARCH("東京",A2))" - 書式(背景色など)を設定してOK
・結果
「東京」を含むセルだけが自動的に色付き表示になります。
参考:【Excel】「特定の文字が含まれていたら色をつける」方法を徹底解説|条件付き書式で自動判定!
・POINT
- シート上で検索結果を「視覚的に強調」できる
- 部分一致も対応(SEARCH関数利用時)
- 検索文字を別セル参照にすれば動的変更も可能
・例:セル参照で動的検索
"=ISNUMBER(SEARCH($E$1,A2))"
E1セルに検索キーワードを入力すると、
条件付き書式が自動的に切り替わります。
✅ 方法⑥:複数シートから検索・抽出する方法
もしブック内に複数のシートがあり、
「全シートを横断して検索したい」場合は、統合検索の考え方が必要です。
・手動で検索する場合
- Ctrl + F → 「オプション」 → 「ブック全体」
→ これで全シートをまとめて検索可能。
・関数で抽出する場合
複数シートをまとめたい場合は、
INDIRECT関数やLET関数を使って特定のシートを指定して検索します。
・例:「東京支店」シートのB2を参照して値取得
"=INDIRECT("'東京支店'!B2")"
→ 指定シートのセルを直接参照できます。
・POINT
- シート名をセル参照にして動的切り替え可能
- 例:"=INDIRECT("'"&A1&"'!B2")"
(A1に「大阪支店」と入力すると自動で大阪シートを参照)
✅ 実務で使える「検索・抽出」活用例
シナリオ | 使用関数・機能 | 効果 |
---|---|---|
顧客名から住所を取得 | XLOOKUP / VLOOKUP | 顧客管理シートの自動参照 |
商品名に「限定」を含む商品一覧 | FILTER+SEARCH | 特定キーワードの一覧作成 |
大量データから「完了」だけ表示 | オートフィルター | 一瞬で完了行のみ抽出 |
複数シートの中から特定の担当者検索 | 検索ボックス(ブック全体) | 全シート横断検索 |
売上30万以上を自動抽出 | FILTERまたは数値フィルター | 集計業務の効率化 |
✅ RPAやPower Automateと組み合わせるとさらに効率的
Excelの検索・抽出は、Power AutomateやUiPathと組み合わせることで自動化が可能です。
・自動化の例
- Power Automateで「特定条件を含む行」を自動抽出し、別シートに保存
- UiPathで「ExcelのFILTER関数を更新 → 結果をメール送信」
- 定期的に検索条件を変更してレポートを作成
検索や抽出をRPA化すれば、手作業でのデータ整理が不要になります。
✅ まとめ:Excelの検索・抽出を使いこなして作業効率を最大化しよう
- Ctrl + Fでシート内検索(部分一致も可能)
- オートフィルターで条件に合うデータを絞り込み
- FILTER関数で自動抽出を実現(動的更新可能)
- VLOOKUP/XLOOKUPで対応する値を取得
- 条件付き書式で検索結果を可視化
- 複数シートの検索は「ブック全体」で対応
- 自動化ツールと連携すれば完全自動化も可能
Excelの検索・抽出機能は、**「探す」「見つける」「取り出す」**を一気に効率化できる強力な武器です。
一度覚えてしまえば、膨大なデータを扱う業務でもミスが減り、作業時間を大幅に短縮できます。
ぜひ、この記事で紹介した方法を活用して、
日常業務の検索・抽出作業をスマートに自動化してみてください。