日々の業務でExcelに記録された膨大なデータを扱う機会は少なくありません。売上データ、顧客情報、アンケート回答など、数千行に及ぶデータを人が一つずつ目で確認してまとめるのは、非常に時間のかかる作業です。こうしたときに役立つのが Power Automate と ChatGPT の連携です。Power Automateを使えばExcelから自動でデータを取り出し、ChatGPTに送信して要約を生成させるフローを構築できます。これにより、人が行っていた集計や要約作業をAIに任せることができ、業務効率が劇的に向上します。
この記事では、初心者の方でも理解できるように「ExcelデータをChatGPTに送って要約するPower Automateフロー」の作り方を、手順と実例を交えて詳しく解説します。
目次
- ✅ ExcelデータをChatGPTで要約するメリット
- ・大量データを短時間で整理
- ・分析初心者でも要点が掴める
- ・報告資料作成の時間短縮
- ✅ フロー構築の前提準備
- ・Microsoft Power Automateの利用環境
- ・Excel Online(Business)の利用
- ・OpenAI APIキーの取得
- ✅ ExcelデータをChatGPTに送って要約するPower Automateフローの手順
- ・トリガーを設定する
- ・Excelデータを取得する
- ・データをテキスト形式に整形する
- ・ChatGPT APIを呼び出す
- ・結果をTeamsに送信する
- ✅ 実務での活用例
- ・売上データの週次要約
- ・アンケート結果の要約
- ・プロジェクト進捗の整理
- ✅ 注意点と運用のコツ
- ・データ量に注意
- ・セキュリティを考慮する
- ・コスト管理
- ・人による最終確認
- ■ まとめ:ExcelデータをChatGPTに要約させる自動化フローを構築しよう
✅ ExcelデータをChatGPTで要約するメリット
・大量データを短時間で整理
数百行、数千行のデータを人が読むには時間がかかります。ChatGPTを使えば「主要な傾向」「注目すべき異常値」「要点まとめ」といった形で短時間に整理できます。
・分析初心者でも要点が掴める
すべての従業員がデータ分析に精通しているわけではありません。ChatGPTを使えば自然言語でわかりやすい説明が得られるため、専門知識がない人でも簡単に理解できます。
・報告資料作成の時間短縮
営業報告や会議資料を作るときに、ChatGPTの要約をそのまま利用できれば作業時間を大幅に削減できます。
参考:【Power Automate Desktop】現在の日時を取得してファイル名に使用する方法
✅ フロー構築の前提準備
・Microsoft Power Automateの利用環境
Power AutomateはMicrosoft 365に含まれるクラウドサービスです。Webブラウザでアクセスできるため、追加インストールは不要です。
・Excel Online(Business)の利用
Power Automateで扱えるのは「OneDrive」または「SharePoint」に保存されたExcelファイルです。ローカルPCに保存されたExcelは直接利用できないため注意しましょう。
・OpenAI APIキーの取得
ChatGPTを呼び出すにはOpenAIのAPIキーが必要です。公式サイトでアカウントを作成し、ダッシュボードからAPIキーを発行して控えておきましょう。
✅ ExcelデータをChatGPTに送って要約するPower Automateフローの手順
ここでは「売上データが入力されたExcelファイルを読み取り、ChatGPTに送って要約文をTeamsに投稿する」という流れを例にします。
・トリガーを設定する
- Power Automateにログインし、「+新しいフロー」をクリックします。
- トリガーとして「手動でフローをトリガーします」や「スケジュール(毎日午前9時)」を選びます。定期的な要約を自動化するならスケジュール実行が便利です。
・Excelデータを取得する
- 「Excel Online(Business)」コネクタから「行の一覧を取得」アクションを追加します。
- OneDriveまたはSharePointに保存したExcelファイルを指定し、対象テーブルを選びます。
- このアクションでExcelのデータがJSON形式で取得されます。
・データをテキスト形式に整形する
- 「Select」アクションや「Compose」アクションを使って、ExcelデータをChatGPTに渡せる形に整形します。
例:「日付、商品名、売上高」のようにカンマ区切りのテキストに変換。 - 長すぎるデータはそのまま送るとエラーになるため、件数を絞ったり、要点を抜粋するのがポイントです。
・ChatGPT APIを呼び出す
- 「HTTP」アクションを追加し、以下のように設定します。
- メソッド:POST
- URL:https://api.openai.com/v1/chat/completions
- ヘッダー:
- Authorization: Bearer [APIキー]
- Content-Type: application/json
- Bodyには以下のようなJSONを入力します。
{
"model": "gpt-4o-mini",
"messages": [
{"role": "system", "content": "あなたはデータ分析の専門家です。Excelデータを要約してください。"},
{"role": "user", "content": "以下のデータを要約し、主要な傾向とポイントを簡潔に説明してください。\n[整形済みExcelデータ]"}
]
}
・結果をTeamsに送信する
- ChatGPTから返ってきた要約結果を「Teamsにメッセージを投稿」アクションで送信します。
- チャットやチームチャンネルに要約文が届き、関係者全員が簡単に確認できるようになります。
参考:【ChatGPT】VLOOKUP関数を自動生成する方法|手順・聞き方・注意点を徹底解説
✅ 実務での活用例
・売上データの週次要約
毎週の売上データをChatGPTに渡し、「売上が増加したカテゴリ」「前年同期比の変化」などをまとめさせます。営業会議の資料作成が効率化されます。
・アンケート結果の要約
顧客満足度調査の結果をExcelにまとめ、ChatGPTに送れば「好意的な意見」「改善要望の傾向」を短時間で抽出できます。
・プロジェクト進捗の整理
進捗管理表を要約し、「遅延が発生しているタスク」「進行が順調な部分」を自動でレポート化。マネージャーの負担を軽減できます。
✅ 注意点と運用のコツ
・データ量に注意
ChatGPT APIにはトークン数制限があります。Excelデータをそのまま送るとオーバーする場合があるため、適度にまとめて送信しましょう。
・セキュリティを考慮する
外部サービスにデータを送信するため、機密情報や個人情報を含むデータは送らないようにしましょう。匿名化や部分抽出で安全性を確保できます。
・コスト管理
API利用は従量課金制です。処理回数が増えるとコストがかさむため、必要なタイミングや対象を絞ることが大切です。
・人による最終確認
ChatGPTの出力は便利ですが、完全に正しいとは限りません。特にビジネス文書や公式資料に使う場合は、人が必ず確認してから利用しましょう。
■ まとめ:ExcelデータをChatGPTに要約させる自動化フローを構築しよう
- Power Automateを使えばExcelデータを自動で取得できる
- ChatGPT APIを利用することで自然な要約文を生成可能
- 売上報告、アンケート集計、進捗整理など多様な業務で活用できる
- データ量・セキュリティ・コストに注意しながら運用することが重要
Excelの大量データ処理をChatGPTに任せれば、分析や報告にかかる時間を大幅に短縮できます。まずは小さなデータから試してフローを構築し、徐々に業務全体へ活用範囲を広げていきましょう。