Excelを使っていると、「単価 × 数量」「金額 × 税率」「人数 × 単価」など、複数行にわたる掛け算を一括で処理したいというシーンが頻繁にあります。
たとえば、売上データのようにA列に単価、B列に数量が入力されているとき、それぞれの掛け算を行ってC列に結果を出す…といった操作を毎回手入力していたら非効率です。
そこでこの記事では、Excelで掛け算をまとめて行う方法(行ごとの掛け算を一括で計算・表示する方法)を、初心者の方にもわかりやすく解説します。関数の使い方から、便利な応用ワザ、よくあるエラーとその解決策まで網羅しています。
目次
- ✅ Excelで掛け算をまとめて行う基本の方法
- 例:A列に単価、B列に数量がある場合
- ✅ オートフィルで掛け算を一括処理する方法
- ✅ 中間列なしで一括で掛け算+合計する方法
- ・SUMPRODUCT関数の書き方
- ✅ Excel 365/2021以降限定:動的配列を使った一括掛け算
- ✅ 掛け算の結果だけを別列にまとめて表示したいとき
- ■よくある応用例|掛け算まとめて処理の活用場面
- ■よくあるエラーとその対処法
- ■掛け算処理を自動化したテンプレート例(無料)
- ■よくある質問(FAQ)
- Q. 複数行の掛け算を一発で終わらせるには?
- Q. 掛け算結果を見ながら処理したい場合は?
- Q. 掛け算するセルに文字列が含まれていてうまく計算できない…
- ■まとめ|Excelで掛け算をまとめて処理すれば作業効率が大幅アップ
- ・ 本記事のまとめ
✅ Excelで掛け算をまとめて行う基本の方法
Excelで掛け算を行う際の基本は「*(アスタリスク)」演算子を使うことです。これはExcelにおける掛け算の記号です。
例:A列に単価、B列に数量がある場合
=A2*B2
上記の式をC2セルに入力し、オートフィル機能(セル右下の十字マーク)でC10までコピーすれば、行ごとの掛け算をまとめて実行できます。
✅ オートフィルで掛け算を一括処理する方法
- C2セルに「=A2*B2」と入力
- C2セルを選択したまま、セルの右下のハンドル(小さな■)にマウスを合わせる
- ドラッグしてC10など、必要な範囲まで引っ張る
- すべての行に掛け算が自動で反映される
これが、最もシンプルでわかりやすい掛け算のまとめて処理方法です。
【Excel】列ごとに掛け算をする方法|関数と手順をやさしく解説【初心者向け】
✅ 中間列なしで一括で掛け算+合計する方法
行ごとの掛け算を中間列に出さずに、すぐ合計を出したい場合は SUMPRODUCT
関数が便利です。
・SUMPRODUCT関数の書き方
=SUMPRODUCT(A2:A10, B2:B10)
この式は、以下のように各行で掛け算を行い、その合計を求める関数です。
A2×B2 + A3×B3 + A4×B4 … A10×B10
使うメリット
メリット | 内容 |
---|---|
中間列が不要 | 計算列を作らなくて済むので見た目がすっきり |
一括処理で高速 | 1つの関数で複数の掛け算+合計ができる |
実務で汎用性高 | 売上、点数、数量、在庫などあらゆる業務に応用可能 |
✅ Excel 365/2021以降限定:動的配列を使った一括掛け算
新しいExcel(Office 365/Excel 2021以降)では、配列演算がさらにシンプルになっています。
=SUM(A2:A10 * B2:B10)
これは SUMPRODUCT
とほぼ同じ意味になりますが、見た目がシンプルで読みやすいのが特長です。
✅ 掛け算の結果だけを別列にまとめて表示したいとき
たとえば、以下のような表を考えます:
A列:単価 | B列:数量 | C列:金額(掛け算結果) |
---|---|---|
100 | 3 | =A2*B2 |
200 | 2 | =A3*B3 |
… | … | … |
この場合、C列に式を入力してオートフィルするだけで、全行の掛け算結果をまとめて出力できます。
【Excel】【初心者向け】掛け算とSUM関数を正しく使う方法|表計算の基本と応用をわかりやすく解説
■よくある応用例|掛け算まとめて処理の活用場面
✅ 売上管理表
- 単価 × 数量で売上額を算出
- SUMPRODUCTで全体の売上合計を一発計算
✅ 給与計算
- 時給 × 労働時間 × 日数などの多段掛け算
- 中間列を使うか、SUMPRODUCTに複数列指定
=SUMPRODUCT(時給列, 時間列, 日数列)
✅ 加重平均
- 得点 × 重み の合計 ÷ 重みの合計 で計算
=SUMPRODUCT(得点列, 重み列) / SUM(重み列)
■よくあるエラーとその対処法
エラー | 原因 | 対処法 |
---|---|---|
#VALUE! | 数値でない文字列が掛け算対象になっている | ISNUMBER で数値かどうか確認/空白や文字列の削除 |
#SPILL! (Excel 365) | 結果を表示する範囲に他の値が入っている | 出力範囲を空ける/セルを削除する |
結果が正しくない | 範囲の行数が一致していない | A2:A10 と B2:B9 のように行数違いに注意 |
結合セルが含まれる | 数式が正しく処理されない | 結合セルを解除してから計算する |
■掛け算処理を自動化したテンプレート例(無料)
掛け算と合計処理をまとめたExcelテンプレートの例:
商品名 | 単価 | 数量 | 金額(単価×数量) |
---|---|---|---|
商品A | 300 | 5 | =B2*C2 |
商品B | 500 | 2 | =B3*C3 |
… | … | … | … |
合計 | =SUM(D2:D10) |
- 中間列を使って金額を出す →
=B2*C2
- 合計行で
=SUM(D2:D10)
を使えば売上合計が出る - 中間列を省略したい場合は
=SUMPRODUCT(B2:B10,C2:C10)
■よくある質問(FAQ)
Q. 複数行の掛け算を一発で終わらせるには?
A. SUMPRODUCT
関数を使えば、掛け算+合計が一発でできます。
Q. 掛け算結果を見ながら処理したい場合は?
A. 中間列を作って、各行の「=A2*B2」のような式を記述 → =SUM(...)
で合計できます。
Q. 掛け算するセルに文字列が含まれていてうまく計算できない…
A. その場合、数値変換や IF(ISNUMBER(...))
で条件分岐を入れて処理するのが確実です。
■まとめ|Excelで掛け算をまとめて処理すれば作業効率が大幅アップ
Excelでは、行ごとの掛け算を一括で処理する方法として、
- セル参照とオートフィル
- 中間列+SUM関数
- SUMPRODUCT関数
- 配列数式(Excel 365以降)
などの手法があります。用途に応じてこれらを使い分ければ、売上集計・勤怠計算・業績評価などあらゆる業務において、正確でスピーディな集計処理が実現できます。
・ 本記事のまとめ
項目 | 内容 |
---|---|
基本の掛け算 | =A2*B2 で1行ずつ、オートフィルでまとめて処理 |
合計付き一括処理 | =SUMPRODUCT(A2:A10,B2:B10) |
配列演算(新機能) | =SUM(A2:A10*B2:B10) (Excel 365) |
エラー対処 | #VALUE! や #SPILL! などに注意 |
活用例 | 売上、給与、加重平均、見積書など多数 |
掛け算処理の自動化は、Excel作業の基本にして最大の時短テクニックです。
この記事を参考に、あなたの業務をさらに効率化していきましょう。