Excelでデータ分析をするとき、平均値や中央値だけでなく「最頻値(Mode)」を求めたい場面も多くあります。最頻値は「最も多く出現する値」を示すため、アンケート調査・売上分析・品質管理などで頻繁に使われる重要な指標です。
この記事では「Excel 最頻値 出し方」というテーマで、最頻値の基本からExcel関数による出し方、複数の最頻値を求める方法、そして実務での活用まで詳しく解説します。
目次
✅ 最頻値とは?
最頻値(Mode) とは、データの中で最も多く出現する値のことです。
- 平均値 → 全体の傾向
- 中央値 → データの中心
- 最頻値 → 多数派の代表
📌 例:データ「1, 2, 2, 3, 5」
- 平均値 = 2.6
- 中央値 = 2
- 最頻値 = 2(最も出現回数が多い値)
➡️ 最頻値は「一番多く見られる典型的な値」を知るのに役立ちます。
参考:【Excel】中央値とは?Excelでの求め方と実務での活用方法を徹底解説
✅ Excelで最頻値を求める方法(詳しく解説)
Excelには最頻値を求めるための専用関数が用意されており、用途に応じて使い分けが可能です。ここでは基本的な関数から複数最頻値を扱う方法まで、段階的に説明していきます。
・MODE.SNGL関数(単一の最頻値を求める)
=MODE.SNGL(数値1, [数値2], …)
- データの中で最も頻繁に出現する 1つの値 を返す
- 複数の最頻値が存在しても「最初に見つかったもの」しか返さない
📌 使用例
=MODE.SNGL(A1:A10)
➡️ この場合、A1:A10の範囲で最も出現回数の多い値が返されます。
⚠️ 注意点
- 複数の値が同じ回数で出現している場合、Excelはそのうちの1つしか返さないため「多数派が複数ある」という状況を正確に反映できないことがあります。
- そのため、「とりあえず最も多い値を知りたい」場合に適した関数です。
・MODE.MULT関数(複数の最頻値を求める)
=MODE.MULT(数値1, [数値2], …)
- 複数の最頻値がある場合、すべての最頻値を返す
- Excel 365では、数式を入力してEnterを押すだけで複数の最頻値が一覧で表示されます
- Excel 2019以前では、Ctrl + Shift + Enter で配列数式として確定する必要があります
📌 使用例
=MODE.MULT(B1:B10)
➡️ B1:B10の範囲に「2」「5」が同じ回数で最頻値として存在していれば、2つとも返されます。
・ MODE.SNGLとMODE.MULTの使い分け
- データの代表的な値を1つだけ知りたい →
MODE.SNGL
- 多数派が複数あるかどうかも知りたい →
MODE.MULT
実務の分析では、売上数量やアンケート回答などで複数の値が同じ頻度で出ることも多いため、まずはMODE.MULTで確認 → 必要に応じてMODE.SNGLを使う という流れがおすすめです。
・ 実務での活用イメージ
- アンケート調査:「よく選ばれた回答」を把握するために最頻値を求める
参考:【Excel】IF関数とVLOOKUP関数の併用で柔軟なデータ処理を実現する方法|条件分岐×検索 - 売上分析:最もよく売れる数量や価格帯を知るために使う
参考:【Excel】【営業向け】売上金額に応じてランクを自動表示するIF関数の使い方|簡単に業績ランク付け! - 品質管理:製品検査データから「最もよく出る値」を確認することで、標準的な状態を把握
参考:【Excel】【在庫管理】在庫数に応じて発注判断を自動化するIF関数の設定方法|ムダなく効率的な仕入れを実現
📌 例:アンケートで「好きな飲み物は?」という質問に「コーヒー」「紅茶」「水」の回答があり、最頻値が「コーヒー」だった場合、多数派の意見は「コーヒー」と一目で判断できます。もし「紅茶」も同じ数だけ回答があれば、MODE.MULT
を使って両方の結果を返すことが可能です。
・ 最頻値関数を使う際の注意点
- データ件数が少ない場合、最頻値があまり意味を持たないことがある
- 「同点」で最頻値が複数ある場合、
MODE.SNGL
では一部しか拾えない - 0や空白セルがあると、意図しない結果になることがあるため、範囲をしっかり指定するのが重要
・古いバージョンのMODE関数
=MODE(A1:A10)
- Excel 2007以前で使用されていた関数
- 現在は非推奨ですが、互換性のために残されています
✅ 最頻値の実務での活用例
・アンケート集計
「好きな飲み物は?」というアンケートで最頻値が「コーヒー」なら、多数派の意見を即座に把握できます。
・売上分析
販売価格や数量の最頻値を求めれば「よく売れる価格帯」や「標準的な購入数」を知ることができます。
📌 例:1日の販売数 → 最頻値が「3」なら、多くのお客様が3個ずつ買っていることがわかる。
・勤怠管理
残業時間の最頻値を求めれば「最も一般的な働き方」を確認でき、業務改善に活かせます。
参考:【Excel】【勤怠管理】遅刻・欠勤・早退を自動で判定するIF関数の使い方|勤怠チェックを効率化!
・品質管理
製品の検査値に最頻値を活用すると「標準的な品質状態」を把握でき、異常検出に役立ちます。
✅ 最頻値を他の指標と組み合わせて分析
最頻値だけを見るよりも、平均値や中央値と一緒に確認することで、より深い分析が可能です。
📌 例:テストの点数(100人分)
- 平均値 = 65点
- 中央値 = 68点
- 最頻値 = 70点
➡️ 解釈:「多くの学生は70点を取っているが、全体傾向は65点付近」と判断できる。
参考:【Excel】【成績処理】複数教科の合否判定をIF関数で自動化する方法(合格/再試験/不合格)
✅ グラフで最頻値をわかりやすく表示する方法
数値だけでなく、グラフに最頻値を反映すると直感的に伝わります。
・ヒストグラム
- データを範囲ごとにまとめた棒グラフ
- 最頻値にあたる階級の棒が最も高く表示される
・棒グラフ+条件付き書式
- データの中で最頻値のセルに色を付ける
- 棒グラフにすると「多数派」が一目でわかる
参考:【Excel】2軸のグラフを作成する方法
✅ 最頻値を使うときの注意点
- 複数の最頻値がある場合、どの関数を使うかで結果が異なる
- データ件数が少ないと、最頻値があまり意味を持たないことがある
- 平均値や中央値と組み合わせて活用するのがベスト
■ まとめ:Excelで最頻値を正しく求めて分析に活用しよう
- 最頻値とは? → データの中で最も多く出現する値
- Excel関数
MODE.SNGL
→ 単一の最頻値MODE.MULT
→ 複数の最頻値MODE
→ 旧バージョンで使用
- 実務での活用 → アンケート集計、売上分析、勤怠管理、品質管理など
- グラフ表示 → ヒストグラムや棒グラフで視覚的にわかりやすく
✅ まとめ:Excelで最頻値を求めれば、「多数派の意見」や「標準的な傾向」を簡単に把握でき、データ分析や資料作成の精度が高まります!