Excelで中央値を求めるとき、単純に =MEDIAN(範囲)
を使えば簡単に計算できます。しかし、実務では「条件に合うデータだけの中央値を出したい」という場面が非常に多いです。
たとえば:
- 「売上10万円以上の取引」の中央値を求めたい
- 「男性のみ」「20代のみ」のアンケート結果の中央値を知りたい
- 「合格者(70点以上)」だけの中央値を算出したい
こうしたケースでは 条件付き中央値 を使うことで、より精度の高いデータ分析が可能になります。この記事では「中央値 Excel 条件付き」というテーマで、基本から応用までわかりやすく解説していきます。
目次
✅ 中央値とは?(基本のおさらい)
まずは「中央値(Median)」について整理しておきましょう。
- 中央値とは、データを小さい順に並べたときの真ん中の値
- 平均値と違って、外れ値の影響を受けにくい
📌 例:データ「10, 20, 30, 40, 500」
- 平均値 = 120
- 中央値 = 30
➡️ 外れ値「500」があっても中央値は安定的な指標になります。
参考:【Excel】最頻値を求める方法まとめ|MODE関数・活用例でデータ分析を効率化
✅ Excelで中央値を求める基本
中央値を求めるには MEDIAN関数 を使います。
構文
=MEDIAN(数値1, [数値2], …)
・例:A1:A10の中央値を求める
=MEDIAN(A1:A10)
➡️ これで範囲全体の中央値は出せますが、条件を付けたい場合は工夫が必要です。
✅ 方法1:IF関数を使った条件付き中央値(配列数式)
Excelには「MEDIANIF」という関数は存在しません。
そのため、IF関数とMEDIAN関数を組み合わせる のが定番のやり方です。
構文
=MEDIAN(IF(条件範囲=条件, 対象範囲))
・例:東日本の売上額の中央値
=MEDIAN(IF(A2:A100="東日本", B2:B100))
➡️ 「A列が東日本」の行だけを対象にして、B列の中央値を計算します。
⚠️ 注意点:Excel 2019以前では配列数式のため Ctrl + Shift + Enter で確定が必要です。Excel 365では通常のEnterでOK。
参考:【Excel】IF関数と数式の組み合わせで動的な書式管理を実現する方法|Excel条件付き書式の実践活用術
✅ 方法2:複数条件で中央値を求める
条件を2つ以上にしたいときは、IF関数に論理式を組み合わせます。
・例:東日本かつ売上10万円以上の中央値
=MEDIAN(IF((A2:A100="東日本")*(B2:B100>=100000), B2:B100))
➡️ 条件を組み合わせることで、より実務的な分析が可能になります。
参考:【Excel】【成績処理】複数教科の合否判定をIF関数で自動化する方法(合格/再試験/不合格)
✅ 方法3:Excel 365ならFILTER関数で簡単に
Excel 365以降なら FILTER
関数を使うことで、条件付き中央値をより直感的に求められます。
構文
=MEDIAN(FILTER(対象範囲, 条件式))
・例:東日本の売上中央値
=MEDIAN(FILTER(B2:B100, A2:A100="東日本"))
➡️ IF関数+配列数式よりもスッキリ書けて、読みやすくなります。
参考:【Excel】表から抽出して新しい表を作る方法まとめ|関数・フィルター・ピボットで効率化
✅ 実務での活用シナリオ
・営業データ分析
「売上10万円以上の取引だけの中央値」を出せば、標準的な契約規模を把握可能。
・アンケート調査
「20代の回答者のみ」の中央値を出して年代別の傾向を比較できる。
参考:【Excel】キーワード検索して抽出する方法まとめ|日常業務をもっとスマートに
・試験分析
「合格者(70点以上)」だけの中央値を出せば、典型的な合格ラインを確認できる。
参考:【Excel】【成績処理】複数教科の合否判定をIF関数で自動化する方法(合格/再試験/不合格)
・品質管理
「合格判定データ」の中央値を出して、基準値の妥当性を検証できる。
✅ 条件付き中央値の注意点
- 該当データがない場合はエラーになる
→IFERROR
を組み合わせてエラー対策をするのがおすすめ。
📌 例:
=IFERROR(MEDIAN(IF(A2:A100="東日本", B2:B100)), "該当データなし")
- 条件が複雑になると式が長くなる
→ Excel 365ならFILTER
を使ってシンプルに書くとよい。 - 中央値は必ずしも平均値と一致しない
→ 平均値や標準偏差と組み合わせて解釈するとさらに精度が高まる。
✅ グラフと組み合わせて可視化すると効果的
条件付き中央値は数値だけで出しても有効ですが、グラフに表示するとさらに説得力が増します。
- 棒グラフ+中央値ライン:条件別のデータと中央値を比較
- 箱ひげ図:中央値・範囲・外れ値をまとめて視覚化
➡️ 会議資料やレポートではグラフにまとめると直感的に伝わります。
■ まとめ:条件付き中央値で「本当に知りたいデータの中心」を見抜こう
- 単純な
=MEDIAN(範囲)
では条件を付けられない - 条件付き中央値を求めるには
=MEDIAN(IF(条件, 範囲))
(配列数式)=MEDIAN(FILTER(範囲, 条件))
(Excel 365以降)
- 実務では営業分析・アンケート集計・試験結果・品質管理など幅広く活用可能
- グラフに組み合わせれば、より説得力あるデータ分析ができる
✅ まとめ:Excelで条件付き中央値を活用すれば、データの「真ん中」をより正確に捉えられ、意思決定に役立つ分析が可能になります!